
銀行業務検定って財務とか年金とか色々あって、よく分からない…試験の種類や難易度を一目で知りたいな~
こんな要望にお答えします。
- 銀行業務検定の全試験種目とその合格率
- 出題形式
- 2023年度の日程
- CBT対応試験
- 難易度の判断方法と注意点
この記事を書いている僕も、若き頃は銀行業務検定に苦労した、現役の銀行員です。
僕自身もあなたと同様に、入行間もない頃は、銀行業務検定について何も分かりませんでした。



とりあえず試験を受けろって感じで、訳も分からず受験した覚えが…
一応、公式サイトには、銀行業務検定について以下のように書いてあります。
「銀行業務検定試験」は、主として銀行・保険・証券等金融機関の行職員を対象に、業務の遂行に必要な実務知識および技能応用力についてその習得程度を測定することを目的に、さらには実務能力水準の向上に寄与することを願って1968 年2月からスタートした公開の検定試験です。
現在、法務・財務・税務・外国為替・証券・融資渉外・金融経済・信託実務・窓口セールス・年金アドバイザー・営業店マネジメント・デリバティブ・融資管理・投資信託・金融商品取引・相続アドバイザー・事業承継アドバイザー・事業性評価等22 系統・37種目の試験を実施しています。2023年6月試験におきまして、累計受験申込者数1,109万人に達しています。なお、2022年度の年間受験申込者数は16万8千人にのぼっています。
銀行業務検定協会より引用



科目がいっぱいありすぎて、見るのも嫌になってきたー
そんなわけで、若き頃の自分に伝えたかったこと。
- 銀行業務検定の特徴・種目
- 気になる合格率・難易度の見分け方
この2つについて詳しくお伝えします。
この記事を読んで、銀行業務検定の正体を知りつつ、自分と相性が良さそうな試験を見つけましょう!
銀行業務検定:直近合格率の一覧表
試験名 | 形式 | 直近受験者数 | R4年10月合格率 | R5年3月合格率 | R5年6月合格率 |
---|---|---|---|---|---|
法務2級 | 三答択一付記述式 10題 | 2,215 | 25.33 | 22.23 | |
法務3級 | 五答択一50問 | 7,444 | 26.80 | 32.74 | |
法務4級 | 三答択一50問 | 1,706 | 73.15 (66.84) | ||
融資管理3級 | 五答択一50問 | 1,940 | 45.18 (16.29) | ||
財務2級 | 記述式 10題 | 3,740 | 24.92 | 23.09 | |
財務3級 | 五答択一50問 | 7,135 | 36.03 | 29.89 | |
財務4級 | 三答択一50問 | 1,673 | 53.40 (59.83) | ||
税務2級 | 三答択一付記述式 10題 | 3,355 | 27.72 (25.10) | ||
税務3級 | 五答択一50問 | 4,173 | 33.79 | 33.69 | |
税務4級 | 三答択一50問 | 1,422 | 56.04 (63.50) | ||
年金 アドバイサー2級 | 記述式 10題 | 1,082 | 20.49 (24.40) | ||
年金 アドバイサー3級 | 五答択一50問 | 3,526 | 34.00 | 23.64 | |
年金 アドバイサー4級 | 三答択一50問 | 1,075 | 43.23 (57.30) | ||
証券3級 | 五答択一50問 | 410 | 38.54 (56.11) | ||
信託実務3級 | 五答択一50問 | 718 | 48.26 (26.32) | ||
営業店 マネジメントⅠ | 記述式 10題 | 747 | 44.58 | 36.84 | |
営業店 マネジメントⅡ | 四答択一40問、記述式6題 | 1,172 | 49.06 | 43.56 | |
経営支援 アドバイザー2級 | 四答択一25問、記述式5題 | 1,296 | 39.89 (48.77) | ||
窓口セールス3級 | 五答択一50問 | 1,049 | 36.62 (34.99) | ||
法人融資渉外2級 | 記述式 10題 | 361 | 27.55 (20.78) | ||
法人融資渉外3級 | 五答択一50問 | 758 | 31.88 (32.72) | ||
事業性評価3級 | 四答択一50問 | 899 | 21.67 (62.40) | ||
個人融資渉外3級 | 五答択一50問 | 810 | 40.07 (22.96) | ||
デリバティブ3級 | 五答択一50問 | 373 | 46.34 (28.15) | ||
事業承継 アドバイザー3級 | 四答択一50問 | 646 | 26.01 (55.89) | ||
外国為替2級 | 記述式 10題 | 638 | 21.82 (26.18) | ||
外国為替3級 | 五答択一50問 | 1,473 | 63.61 | 57.15 | |
金融経済3級 | 五答択一50問 | 1,461 | 51.92 (35.66) | ||
投資信託2級 | 記述式 10題 | 391 | 32.61 (38.11) | ||
投資信託3級 | 四答択一50問 | 3,121 | 36.30 (49.50) | ||
金融商品取引3級 | 四答択一50問 | 502 | 37.21 (26.69) | ||
預かり資産 アドバイザー2級 | 四答択一25問、記述式5問 | 625 | 30.88 (41.93) | ||
預かり資産 アドバイザー3級 | 四答択一50問 | 1,635 | 52.66 (72.70) | ||
保険販売3級 | 四答択一50問 | 694 | 32.56 (46.33) | ||
相続 アドバイザー2級 | 四答択一25問、記述式5問 | 1,725 | 38.21 (23.54) | ||
相続 アドバイザー3級 | 四答択一50問 | 2,855 | 39.23 | 41.41 |
()は前回の合格率。2回の合格推移を確認するために、年1回試験は前回合格率を表示してあります。
2回平均合格率が50%を上回っている試験は赤字表記してあります。
年間受験者数は一斉試験のみでCBT試験の受験者は含まれていません。
銀行業務検定の開催月(日)
銀行業務検定の一斉試験は6月初旬、10月中旬、3月初旬の年3回。
令和5年度は、2023年6月4日(日)、2023年10月22日(日)、2024年3月3日(日)となります。
2021年より一部の試験ではCBT試験も開始されたため、一斉試験日の都合が悪くても受験が可能となりました。
試験実施日 | 試験名 |
---|---|
2023年5月1日(月)~ 2024年3月31日(日) | CBT法務3級 CBT法務4級 CBT財務3級 CBT財務4級 CBT相続アドバイザー3級 CBT信託実務3級 CBT事業性評価3級 CBT事業承継アドバイザー3級 CBT DXサポート |
2022年6月1日(木) ~ 2023年3月31日(日) | CBT税務3級 CBT税務4級 CBT年金アドバイザー3級 CBT年金アドバイザー4級 |
銀行業務検定の実施回数
全国一斉試験の実施回数は原則1回ですが、下記の試験だけは年2回開催しています。
- 法務3・2級
- 財務3・2級
- 税務3級
- 年金アドバイザー3級
- 相続アドバイザー3級
- 外国為替3級
- 営業店マネジメントⅠ・Ⅱ
税務2級は年1回なので注意しましょう。
法務3級、財務3級、税務3級、年金アドバイザー3級、相続アドバイザー3級は全国一斉試験でも年2回開催されているうえに、CBT試験も取扱いしているため、受験しやすい科目となっています。
銀行業務検定の出題形式
試験によって異なり、大きく3つに分かれます。
- 三答択一~五答択一
- 記述形式
- 択一と記述の併用
当然ながら難しいのが記述形式。
出題形式に慣れていないと、まともに書くことすらできません。
一般的に難易度高めの試験は記述式となっています。
銀行業務検定の人気試験
受験者数で上位5位を並べると以下の通り。
- 法務3級
- 財務3級
- 税務3級
- 年金アドバイザー3級
- 相続アドバイザー3級
法務・財務・税務は銀行業務検定の3本柱なので受験者数は非常に多いです。
上記5つの試験はすべて上位互換である2級試験もあるため、まずは3級で難易度を見極めてから、興味のある科目につては2級を受験しましょう。
なお、相続アドバイザーを除く4科目については下位互換である4級もあるため、自信がなければ4級からステップアップしていきましょう。
銀行業務検定の合格率
合格率は20%~70%と試験によって大きく異なります。
試験によっては、今回が40%なのに前回は20%ってこともあるので、気になった試験は過去の合格率の推移を必ず確認しましょう。
とくに新規で解説された試験は、合格率が非常に不安定なので注意!!
銀行業務検定の受験料
受験料は民間試験と比較しても高いです。
料金体系は5つに分類されます。
試験名 | 受験料(税込) |
---|---|
営業店マネジメントⅠ | 9,900円 |
経営アドバイザー2級 | 9,350円 |
営業店マネジメントⅡ | 8,800円 |
法務2級等 | 8,250円 |
法務3級等 | 5,500円 |
法務4級等 | 4,950円 |
一部の試験を除くと、最高峰である2級が8,250円、普通である3級が5,500円、初級である4級が4,950円となります。
試験対策に必須の過去問題集も3,000円弱かかるため、出費は意外と大きいです。



法務2級に限っては、小六法が持込可だけど3,300円もかかるため、試験代と教材だけで15,000円を超過します。



えっ!?生半可な気持ちで受験できない!!
一番高い試験が営業店マネジメントⅠなのですが、受験対象者が管理者であることから、足元を見て高く設定しているとしか思えないです。
銀行業務検定におけるCBT方式の導入
CBTとは「Computer Based Testing(コンピュータ ベースド テスティング)」の略称で、コンピュータを使った試験方式のこと。
従来は決まった日にしか受験できませんでしたが、前述した通り一部の科目については、受験する日時を指定できるようになりました。
また、以下2つの試験については、全国一斉試験では扱われておらずCBT試験のみで受験可能となっています。
- DXサポート
- サステナブル経営サポート(一時休止中)
銀行業務検定の全国一斉試験の日程【2023年】


2022年6月4日(日)
2023年10月22日(日)
2024年3月3日(日)
午前と午後のW受験も可能であり、例えば10月試験なら、午前中に法務3級、午後に法務2級を受験することもできます。
本部から一定の試験数が指定されている場合、W受験で一気に片づける行員もいます。
デメリットは僕も経験済ですが、午後はやはり疲れること。
異なる試験の場合は、頭の切替も求められます。
銀行業務検定:難易度の判別方法


ここからは銀行業務検定の難易度を簡易的に判定する手法をお伝えします。
難易度の判定材料は以下の3つです。
- 合格率と勤続年数
- 出題形式
- グレード
銀行業務検定の難易度判別:①合格率と勤続年数
一番分かりやすいのが合格率ですが、合格率が高い試験でも、前回は合格率が低かったり、開設して間もないことから、合格率が高い試験も混入しています。
したがって、直近の合格率だけでなく、前回の合格率も加味しましょう。



営業店マネジメントⅡは平均合格率が50%超だから受けてみようかな。



ちょっと待って。合格率だけで判断すると痛い目に合うよ。
合格率は同じでも、受験層によって難易度は異なります。
下記試験は2回連続で合格率が50%を超えている試験ですが、受験層は大きく異なります。
試験名 | 平均勤続年数 |
---|---|
法務4級 | 2.7年 |
財務4級 | 3.3年 |
税務4級 | 3.9年 |
年金アドバイザー4級 | 7.2年 |
外国為替3級 | 6.7年 |
投資信託3級 | 10.8年 |
預かり資産アドバイザー3級 | 11.8年 |
例えば、預かり資産アドバイザー3級は実務経験豊富な現場の方々がメインとなり、合格率が50%以上あるからといって、新人が受験したら痛い目に合います。



『易しい』と判定できるのは、平均合格率50%以上かつ勤続年数10年未満の試験だよ。
銀行業務検定の難易度判別:②出題形式
記述より択一の方が簡単です。



記述は書けば、ある程度の部分点がもらえると言われてますが、それなりに勉強しないと、そもそも書けません。
択一問題は当たり前ですが、五択より三択の方が簡単です。
銀行業務検定で三択の試験は以下4つです。
- 法務4級
- 財務4級
- 税務4級
- 年金アドバイザー4級



適当にやっても期待値3割は見込めるので『易しい』と判定。
上記4つの試験は、上位互換として3級・2級があり、平均合格率も50%超のため、駆け出し銀行員にもおすすめです。
銀行業務検定の難易度判別:③グレード
銀行業務検定は試験ごとにグレードが1~3段階に分かれています。
グレード1段階 | 証券3級・信託実務3級など上位・下位互換がない試験 |
グレード2段階 | 相続アドバイザー・法人融資渉外など2級と3級しかない試験 |
グレード3段階 | 財務・法務・税務など4級・3級・2級がある試験 |
グレードごとに分けると、下記の通りです。
4級 | 3級 | 2級 |
---|---|---|
易しい | 普通 | 難しい |



気になる勉強時間ですが、主要科目の法務3級や財務3級で60~80時間ですね。
難易度が易しいに分類される試験は、先ほどの出題形式と同様、以下4つです。
- 法務4級
- 財務4級
- 税務4級
- 年金アドバイザー4級



難易度が3段階に分かれているうちの、一番下はやっぱり難易度は易しいわけね。



その通りだよ。一番下のくせに難易度を普通にしたら、みんな上位互換を受験してくれないでしょ。
グレードで1つ気になることがありますよね?
そう、銀行業務検定には1級がないこと。
何故か銀行業務検定は2級が最高峰なのです。



理由はわかりませんが、一説によれば、極みとなる1級は、実務なしには成すことができないから、検定は2級止まりみたいです。
銀行業務検定のよくある質問


銀行業務検定まとめ


この記事では銀行業務検定の特徴・日程・合格率・難易度についてお伝えました。
銀行業務検定のポイントをまとめたのがこちら。
- 全国一斉試験は年3回(6月・10月・3月開催)
- 一部の試験はCBT試験があり、1年に何度でも受験できる
- 合格率は20~70%と試験により異なる
- 出題形式も記述・択一と試験によりけり
- 難易度判定のポイントは『合格率と受験層』『出題形式』『グレード』
- 4級試験の難易度は『易しい』と判定
銀行業務検定は銀行業界独自の試験のためか、情報は少なめです。
しかしながら、情報が少なめだからこそ、有益な情報を得れば優位に立てるものです。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。