【2020年12月更新】

土台がなくても、ここでお伝えする勉強法を参照すれば、土台は築き上げれます。
そして、土台が出来上がれば、一気に勉強速度も点数も上がるのが財務の特徴です。
僕自身、いきなり財務3級を受験しましたが、勢いにのって9割の壁を突破しています。
この記事でわかること
財務3級の難易度
使うべき教材
具体的な勉強法(6つの手順)
必ず押さえておくべき3つのポイント
まずは財務3級がどのような試験なのか、解説していきます。
銀行業務検定「財務3級」とは
銀行業務検定試験は主として銀行・保険・証券等金融機関の行職員を対象に、業務の遂行に必要な実務知識や技能・応用力についてその習得程度を測定することを目的とした、どなたにもご受験いただける公開の検定試験です。
現在、法務・財務・税務・外国為替・金融経済・証券・信託実務・法人融資渉外・個人融資渉外・窓口セールス・年金アドバイザー・営業店管理・融資管理・デリバティブ・投資信託・保険販売・金融リスクマネジメント・経営支援アドバイザー・預かり資産アドバイザー・金融商品取引・相続アドバイザー・事業承継アドバイザー・事業性評価等の23系統36種目の試験が実施されており、年間受験応募者数は約29万人を数えるに至っています。
財務3級は23系統の中でもメジャーであり、税務や法務と並ぶ3本柱として、多くの方が受験されます。
この3本柱は三択50問の4級、五択50問の3級、記述10問の2級と別れています。
また財務3級の特徴として、簿記の知識があるか、もしくは実際に融資業務で決算書を触れていないと、概念や実感が湧きにくい点が挙げられます。
銀行業務検定財務3級の試験概要
出題形式 | 五答択一式 50問(各2点) |
---|---|
科目構成 | (1)財務諸表 30問 (2)財務分析 20問 財務諸表は、原則として会社法、会社法施行規則および会社計算規則にもとづいて出題 財務分析は、安全性(資金繰りを含む)と収益性の分析およびその総合判断から出題 |
合格基準 | 満点の60%以上(試験委員会にて最終決定) |
試験時間 | 150分 |
財務諸表は、簿記の知識があると心強いです。
財務分析も財務諸表の知識が土台になるため、財務諸表と財務分析はセットで考えなければいけません。
試験時間は150分、問題数は50問のため1問あたり3分ですが、この試験は知っていれば解ける、知らなければ解けないという内容です。
したがって、応用力が求められる試験ではないため、時間不足に陥ることはありません。
銀行業務検定財務3級の合格率と難易度
試験実施回 | 合格率 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 |
2019年6月 | 33.14% | 16,285人 | 13,863人 | 4,594人 |
2019年3月 | 39.54% | 19,739人 | 16,716人 | 6,609人 |
2018年6月 | 27.76% | 17,950人 | 15,423人 | 4,281人 |
2018年3月 | 42.34% | 21,950人 | 18,451人 | 7,851人 |
2017年6月 | 34.00% | 18,730人 | 16,100人 | 5,474人 |
2017年3月 | 36.23% | 22,790人 | 19,369人 | 7,017人 |
合格率は3割程度ですが、ややムラがあります。
しかし、財務3級はメジャーな試験であることから、会社から半強制で申込みをさせられている方が多く、
- 勉強しないで受験(試験本番、退室可能時間になったらすぐ退出する人)
- 受験すら放棄(上記表だと約15%)
このような方がいるのも実情です。
ただし、合格者の中には、簿記資格を有している受験者がいることを、忘れてはいけません。
簿記2級保持者であれば、各勘定の意味や会計の概念が分かるため、少しの勉強でも60点には達します。
また、実務経験が長ければ、法務や税務より得点に直結するのも、財務の特徴です。
そのため、簿記・実務なしの方の合格率は、20%台と考えていいでしょう。
とは言え、効率的に勉強すれば、全く警戒する試験ではありませんので、安心してください。
銀行業務検定財務3級のおすすめ教材
過去5回の過去問です。
これは必ず購入してください。
これを買わずに受験するのは、FF7で例えるなら、マイティガードなしでタイムアタックに挑むようなものです。
ちょっとマイナーな例えで、ごめんなさい!!
簿記や会計学を学んでる方でも、この直前テキストはオススメします。
出題要点が非常にバランスよくまとまっています。
90点以上の高得点を目指す方や、本格的に知識を身に着けたい方は、購入してください。
財務2級を目指す予定の方は、3級のテキストは買わず、2級のテキストで基礎から学ぶのをおすすめします。
合格ラインを狙うだけであれば、買う必要はありません。
各項目の詳細内容が記載されていますが、裏を返せば要点がまとまっておらず、どこを重点に勉強すればよいか判断に迷うからです。
ポイント
試験は過去問を中心に出題されるので、問題集は必須。
直前整理70も、テキストとしては驚くほど要点がまとまっているので必須。
実務のスキルアップを図る目的なら、3級でなく2級のテキストにしましょう。
銀行業務検定財務3級の勉強方法
ここからいよいよ本題です。
まずは問題集を始める前に、冒頭部分の出題項目一覧を確認してみてください。
細かい項目ごとに、過去5回のうち何回出題されたか、記載されております。
そこで1つ気づくことがあります。
連続して出題されている項目が意外と多いことに!!
出題項目別でみた場合、過去5回のうち3回以上出題が30問程、5回連続出題も5問程あります。
5回連続して出題されている項目は、主催者側が重要視している問題なので、捨てることは絶対に避けましょう。
ポイント
感覚的には過去5回中、3回以上出題されている問題を、確実に理解しておけば大丈夫。
財務3級の救いは、税務3級と違い出題項目は少ないこと。
銀行業務検定財務3級の勉強手順
手順1直前整理で、財務諸表の会計原則と主要勘定の意味を、流し読み程度でインプットしましょう。
手順2問題集の直近3回の、財務諸表30問と財務分析20問を1問ごとに解いて、解説文を読んで理解(インプット)してみましょう。
手順3問題集の直近3回を1回ごとに解いて(アウトプット)、間違えた問題、曖昧だった問題を、冒頭の出題項目一覧にチェックしましょう。
手順4直近3回のうち、間違えた問題と、曖昧な問題だけを解きましょう。
手順5過去問5回分を時間を意識して、直近から順番に解きましょう。
手順6直前整理70を再度読んで、理解を深めましょう。
直前整理で、財務諸表の会計原則と主要勘定の意味を、流し読み程度でインプットしましょう。
主要勘定は、以下のものだけをとりあえず覚えて、後のものは、手順②で覚えれば大丈夫です。
- 受取手形
- 売掛金
- 支払手形
- 買掛金
- 資本金
- 繰越利益剰余金
- 売上原価
- 減価償却費
会計原則は、流し読みで構いません。
どのようなルールの元、財務諸表が作成されているか、自分の常識と会計の常識の違いが分かれば十分です。
主要勘定については財務を攻略するにあたり、最低限の言葉の意味が分からないと理解すらできません。
問題集の解説は、これらの語句は認識している前提です。
インプット作業において、要点が綺麗にまとめてある、「直前整理70」を併用すると効果的です。
分らない語句や勘定、気付いたことは「直前整理70」に、どんどん書き込んでください。
手順②の狙いは2つ。
- インプットしなければならない事項を、過去問を通じてを知ること。
- 試験の傾向や主催者が求めているレベルを知ること。
なお、インプットが主の勉強なので、正答率は気にする必要はなし。
はっきり言って、勉強時間の半分以上はこの手順②です。
注意点として、勉強するときの手順は、
この順番で行ってください!
財務諸表の基礎が不確実のまま、財務分析へ進んでも、解ける問題はそれなりにありますが、正直、効率は悪いです。
問題集の直近3回を1回ごとに解いて(アウトプット)、間違えた問題、曖昧だった問題を、冒頭の出題項目一覧にチェックしましょう。
出題頻度が5回中1回の項目や、正答率が30%以下の問題であれば、後回しして構いません。
それらの問題は、満点を取らせないための奇問・難問であるため、まともに向き合ってもコスパは悪いです。
理解するのが負担であれば、ばっさり切り捨てましょう。
また、以下の項目も難易度が高めなので、諦めても良いです。
- 退職給付会計
- ファイナンスリース会計
- 税効果会計
- 自己株式
連結会計やキャッシュフローも難易度はやや高めです。
しかしながら、毎回出題されるので、類似・基礎問題は解けるようにしておきましょう。
手順③の狙いは、インプットした内容が、正確にアウトプットできているかの確認です。
例として漢字の勉強を挙げると、「漢字を読めても書けないこと」って多々ありますよね。
そのため、漢字の勉強でも書く(アウトプット)練習は必須です。
財務3級も一緒で、解説やテキストを読んで、理解(インプット)したからと言って、問題が解ける(アウトプット)わけではありません。
したがって、直前テキストを読むだけでは、勉強した気にはなりますが、得点には大きく繋がりません。
解けなかった問題を出題項目一覧へチェックしてみると、自身の苦手としている部分が可視化できます。
その部分については「直前整理70」で復習をして、まだ取組していない2回分においても出題されていれば、個別に解いて理解できているか確認をしてください。
各勘定の意味もこの時点までには完全に覚えておくこと。勘定を完全に覚えておけば、それだけでそれなりに得点を稼げます。
直近3回のうち、間違えた問題と、曖昧な問題だけを解きましょう。
手順③で解けた問題は、まだ記憶が新しいはずですので、少し間を置いても大丈夫です。
試験合格の課題は、手順③で抽出された問題を、如何に理解して解けるようにするかです。
手順③で間違えた問題は、問題集と直前テキストに付箋を貼り、解けるようになるまで、毎日こなしてください。
(スキマ時間に取り組むのも効果的です。)
財務3級レベルの問題であれば、毎日こなせば解けるようになりますし、毎日向き合えば、記憶にも残りやすいです。
財務3級は計算問題が多いですが、よく問題を見てみると、問われている本質は同じです。
手順④あたりからは勉強のスピードも上がってくるので、勉強計画の見直しもしてみてください。
過去問5回分を時間を意識して、直近から順番に解きましょう。
この段階までたどり着けば、過去問1回分を解くぐらいであれば、苦痛なく取り組めるはずです。
手順⑤の狙いは、理解できていなかった問題、判断に迷った問題、ミスした問題の確認です。
ここで間違えた問題(迷い、ミス含む)は必ず原因を追究してください。
僕自身も・・・
- 固定比率の計算式において、固資資産と自己資本の分子・分母が逆だった!
- 減価償却費の算出における、月割補正を失念した単純な計算ミス!
そんな間違いがありました。
試験を効率的に合格するためには、難しい問題を理解するより、上記理由で不正解になる問題を、1問でも多く減らした方が効率が良いです。
手順⑤で間違えたり迷う問題は、試験本番でも繰り返す可能性があるので、問題集の余白部分に箇条書で良いので記載して、試験当日に会場に着いたら、必ず目を通すようにしてください。
試験に落ちる人ほど、手順⑤の間違いに対する認識が甘いです!
直前整理70を再度読んで、理解を深めましょう。
この段階までたどり着けば、手順②の時と違い、何が分からないか認識できますし、ここは捨てて良い、ここは絶対に理解しないとヤバイ項目が分かってきます。
「直前整理70」を読んでをインプットの補強を図ってください!!
財務3級は計算問題が多いとはいえ、頭の中で財務諸表を描くことは多々あります。
そのため、直前整理70に記載してある図表をそのまま暗記して、試験当日は図表がそのまま頭に思い浮かぶようになればベストです。
銀行業務検定財務3級の必ず押さえておくポイント
ここでは、財務3級の合否の分かれ目になるポイントを簡単にお伝えします。
財務が苦手な方は是非読んでください。
財務3級ポイント①:会計原則の本質をしっかり認識すること
具体的には、簿記と財務諸表の基本原則をしっかり認識すると、なぜこのような解法になるのか、理解するのが早くなります。
ここでは重要な原則を3つほど紹介します。
難しい表現ですが、採用する主義において、収益や費用を認識するタイミングが変わります。
現金主義・・・現金の入出金に費用・収益を認識
発生主義・・・費用・収益の発生事実が発生したときに認識
詳しくは費用は発生主義、収益は実現主義ですが、財務3級であれば、現金主義との違いが理解できれば問題ないです。
例えば、月初めに商品を購入して、月末に購入代金を現金で支払ったとしましょう。
現金主義であれば、現金で支払った月末に初めて「費用」として認識します。
対して発生主義では、商品を購入した月初の時点で、購入代金を支払う「事実」が発生するため、月初に「費用」として認識します。
発生主義の場合だと、月初の事実が発生した時点で
買掛金は負債(債務)であるため、支払う義務が発生します。
月末に現金で支払った時には
仕入の対価である、現金を支払うことにより、買掛金(負債)が消滅します。
例えば、家賃を3年分一括で支払ったとしましょう。
この場合、家賃3年分を全額費用計上すると、1年目は費用が過大になりますが、2年目以降はゼロとなります。
しかし家賃を支払うことによる効果は、2年以降も波及するため、支払家賃を全額費用計上するのは、会計処理としては不適切です。
そのため、この例の場合は、家賃1年分は費用計上して、2年目以降は前払金として資産計上します。
(地代家賃)×××(現金)×××
(前払金)××× (現金)×××
なお、2年目以降は決算仕訳で、前払金のうち該当期間のみを費用計上していきます。
この考え方に慣れるまで時間が掛かりますし、これは決算仕訳と呼ばれる簿記3級の登竜門でもあります。
財務3級では、なんとなく理解できれば大丈夫です!
例えば、今期に商品を100円で仕入して、翌期に商品を150円で販売したとしましょう。
この場合、今期は売上ゼロであるため、収益(売上)に対応する費用(売上原価)もゼロとなります。
したがって、仕入額は150円ですが、売上原価はゼロです。
なお、今期の仕入額150円は、貸借対照表の商品に計上されます。
言葉の通り、費用(売上原価)と収益(売上)は対応させる必要があります。
よくある勘違いとして、今期は大量仕入したから赤字になったという話。
仕入≠原価ですから!!
財務3級ポイント②:計算式でなく図解で考える
財務の解説を見ていると、計算式が度々出てきますが、公式として覚えると同時に、図解で考えると理解が楽です。
財務の計算は、簿記や会計から成り立っていることから、問題の大半は図解で可視化できます。
例えば売上原価算出式は、
この式はよく出てきますが、図解で考えると下記図のようになります。
また類題として、製造原価計算問題では、
- 材料
- 仕掛品
- 製品
このような複数の勘定が混じり合うため、公式で解くより、図で解く方が可視化できるため、応用問題にも対応できます。
⇩
⇩
財務3級ポイント③:分析指標は公式だけでなく意味も考える
試験でよく出題される流動比率の公式は下記の通り。
このようになりますが、公式だけで覚えると、分母と分子が混合しやすいです。
しかし、意味も併せて覚えると、そのような心配はなくなります。
流動比率であれば、会社の短期的な支払能力の余裕率(安全率)を表す指標と、覚えておきましょう。
余裕率(安全率)なので、100%を超えれば超えるほど、良いことが分かります。
そのため流動資産>流動負債であれば、流動比率は100%超になることが、瞬時に判定できます。
固定比率、固定長期適合率でも同様の事が言えます。
よく分子・分母を迷う固定比率ですが、公式は下記の通り。
固定比率は固定資産に投資した資金が、返済義務のない自己資本で、どの程度まかなえているか判断する指標です。
そのため、固定資産が自己資本でまかなえていれば(固定資産<自己資本)、固定比率は100%未満となり、良いことが分かります。
しかし、現実的には固定資産を自己資本だけでまかなうのは難しいため、自己資本に固定負債(長期借入金・社債等)も加味します。
これを固定長期適合率と言い、公式は以下の通り。
固定比率と同様に、固定資産が自己資本と固定資産の範囲に収まっていれば良いことから、100%未満だと良いことが分かります。
公式さえ覚えていれば、比率の計算はできますが、それでは固定比率100%超の状態が、良いか悪いか判断に迷います。
(試験では計算式だけでなく、このような理論問題もよく出題されます。)
銀行業務検定財務3級の勉強法まとめ
この記事では、銀行業務検定財務3級の難易度、おすすめ教材、具体的な勉強法(対策)についてお伝えしました。
財務3級についてまとめたのがこちら
ポイント
合格率は3割程だがムラがある
過去問題集は必須
直前テキストもあった方が良い
過去問の反復が合格への近道
丸暗記でなく 本質を理解する勉強法が有効
財務3級レベルであれば、公式テキストでインプットしてから問題集を取組みするより、
直前テキストで最低限のインプットをしてから、問題集で傾向や出題形式に慣れつつ本格的にインプットを行う方が、効率的です。
そして、過去の類似問題が多いことから、過去問題集を何度も解くことが一番の近道なのです。
銀行業務検定は実務で活かす意味合いよりも、社内での評価に利用されやすい意味合いの方が強い試験であることから、とにかく「合格」することが重要な試験です。
(金融機関の人事の昇進昇格の条件の1つに、銀行業務検定の取得が取りこまれています。)
せっかく貴重なオフの時間を用いるのであれば、ここでお伝えした効率的な勉強法を参考にして「一発合格」を目指してください。
当サイトでは、多忙だけど頑張るあなたを、情報発信という形で応援します。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
\これは必須/
\インプット速度が上がります/
\高みを目指すなら2級テキストがおすすめ/
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