【2020年12月更新】
特に法務の知識があると、融資関連の相続の勉強がスムーズに進みます。
この記事でわかること
相続アドバイザー3級の難易度
使うべき教材
具体的な勉強法(5つの手順)
勉強のポイント
まずは相続アドバイザー3級がどのような試験なのか、解説していきます。
銀行業務検定「相続アドバイザー3級」とは
銀行業務検定試験は主として銀行・保険・証券等金融機関の行職員を対象に、業務の遂行に必要な実務知識や技能・応用力についてその習得程度を測定することを目的とした、どなたにもご受験いただける公開の検定試験です。
現在、法務・財務・税務・外国為替・金融経済・証券・信託実務・法人融資渉外・個人融資渉外・窓口セールス・年金アドバイザー・営業店管理・融資管理・デリバティブ・投資信託・保険販売・金融リスクマネジメント・経営支援アドバイザー・預かり資産アドバイザー・金融商品取引・相続アドバイザー・事業承継アドバイザー・事業性評価等の23系統36種目の試験が実施されており、年間受験応募者数は約29万人を数えるに至っています。
相続アドバイザー3級は23系統の中でもメジャーであり、財務・税務・法務の3本柱を除けば、年金アドバイザー3級に次いで人気の試験です。
ただし、相続アドバイザーは3本柱や年金アドバイザーと違い、三択50問の4級は存在しません。
また、3本柱や年金アドバイザーの3級は五答択一式に対し、相続アドバイザー3級は四答択一式なのも特徴です。
相続アドバイザー3級の特徴として、一般的な知識の他に、知識を活用した問題解決力も若干求められます。
銀行業務検定年金アドバイザー3級の試験概要
出題形式 | 四答択一式 40問(各2点) 事例付四答択一式 10問(各2点) |
---|---|
科目構成 | (1)基礎知識 四答択一式 相続の基礎知識 20問 相続と金融実務 15問 その他周辺知識 5問 (2)技能・応用 事例付四答択一式 10問 上記範囲での事例問題 |
合格基準 | 満点の60%以上(試験委員会にて最終決定) |
試験時間 | 150分 |
試験時間は150分、問題数は50問のため1問あたり3分ですが、この試験は知っていれば解ける、知らなければ解けないという内容です。
したがって、応用力が求められる試験ではないため、時間不足に陥ることはありません。
銀行業務検定相続アドバイザー3級の合格率と難易度
試験実施回 | 合格率 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 |
2019年10月 | 39.17% | 5,990人 | 5,247人 | 2,055人 |
2019年3月 | 42.27% | 7,599人 | 6,454人 | 2,728人 |
2018年10月 | 24.75% | 7,509人 | 6,542人 | 1,619人 |
2018年3月 | 39.13% | 8,820人 | 7,473人 | 2,924人 |
2017年10月 | 46.10% | 7,533人 | 6,353人 | 2,929人 |
2017年3月 | 43.78% | 11,155人 | 9,696人 | 4,245人 |
合格率は3~4割ですが、2018年10月はやや難関で3割を下回っています。
また、相続アドバイザー3級の受験者の平均勤続年数は13~15年と、3本柱(財務・税務・法務)と比較して高いので、若手受験者で相続実務経験がないと勉強に苦労します。
最近の3本柱の受験者平均勤続年数
財務3級(2019年6月) | 5.9年 |
税務3級(2019年10月) | 5.8年 |
法務3級(2019年10月) | 4.6年 |
とは言え、効率的に勉強すれば全く警戒する試験ではありません。
(しっかり勉強すれば、3本柱の試験より点数は安定します。)
銀行業務検定相続アドバイザー3級のおすすめ教材
過去問です。
これは必ず購入してください。
これを買わずに受験するのは、ポケモンで例えるなら、1匹のみでクリアを目指すようなものです。
以下のような方にはテキスト購入もおすすめします。
- 問題集だけでは心配な方
- 実務経験が少ない方
- 法務3級レベルの知識がない方
- 相続アドバイザー2級を受験される方
相続アドバイザー3級には、3本柱(財務・税務・法務)や年金アドバイザーに用意されている「直前整理70」という、非常に優秀なテキストが存在しません。
また、2級のテキスト教材も存在しないので、2級受験者予定者は購入しておいて損はしません。
問題集の解説だけでもインプットは可能だけど、基礎知識がないと、インプットが曖昧になってしまう可能性があるので注意しよう。
相続の本は税務か法務のどちらかに偏りになります。
しかし、この本は法務と税務、そして金融実務やFPの内容をコンパクトに収めています。
そして、銀行業務検定の公式教材と同じ経済法令研究会が出版しているので、試験対策教材として活用できます。
ただし、相続アドバイザー3級は、過去問の類似問題の出題率が非常に高いため、問題集を反復するだけでも、合格点には達します。
ポイント
試験は過去問を中心に出題されるので、問題集は必須。
”直前整理”という優秀な教材が、相続アドバイザー3級には存在しない。
相続アドバイザー2・3級の公式テキストは3級のテキストのみ。
実務スキル向上を図るなら”相続アドバイザーの実務”はおすすめ。
銀行業務検定相続アドバイザー3級の勉強方法
ここからいよいよ本題です。
まずは問題集を始める前に、冒頭部分の出題項目一覧を確認してみてください。
細かい項目ごとに、過去何回出題されたか、記載されております。
そこで1つ気づくことがあります。
連続して出題されている項目が非常に多いことに!
毎回出題されている項目は、主催者側が重要視している問題なので、捨てることは絶対に避けましょう。
ポイント
3回以上出題されている問題を、確実に理解しておけば大丈夫。
毎回似た問題が出題されるので、過去問中心の勉強で問題なし。
銀行業務検定相続アドバイザー3級の勉強手順
手順1問題集の基礎知識編40問を、一通り解説文(とテキスト)を読みながら解いてみましょう。(インプット)
手順2再度、問題集の基礎知識編40問を、一通り解いてみましょう。(アウトプット)
手順3手順2で間違えた問題、曖昧だった問題だけを一通り見直して、再度解きましょう。
手順4問題集全ての回の技能・応用10問を直近順に解いていきましょう。
手順5問題集全ての問題を直近から順に解いていきましょう。

そう感じる方もいると思いますが、相続アドバイザー3級に関しては、問題集を解きながらインプットを行うことが有効です。
なぜなら、相続アドバイザー3級に関しては、財務・税務・法務の3本柱と比較して、過去問の出題率が高く、基礎知識編を取組めば、ほぼ取りこぼしがなくインプットできるからである。
なお、手順①の狙いは、技能・応用編の10問に対応できるよになるために、相続の二大要素である民法と相続税法を確実にインプットすることです。
したがって、問題を解く際は、解説文を見て納得しながら解いていきましょう。
手順①から手順⑤まで提示してありますが、最大の山場は手順①。
手順②の狙いは、インプットした内容が、正確にアウトプットできているかの確認です。
手順①では、解説文を見ながら解いているため、何が理解できて、何が理解できていないか、客観的に把握することは難しいものです。
解けなかった問題は、解説文やテキスト購入者はテキストの該当部分をしっかり読んで、理解を深めると同時に、出題項目一覧へチェックしてみましょう。
チェックを入れると、自身の苦手としている部分が可視化できます。
また、出題頻度が、過去1回の項目や正答率が30%以下の問題であれば、後回しで良いです。
それらの問題は、満点を取らせないための問題であり、また技能・応用編に役立つ問題でもないため、まともに向き合ってもコスパは悪いです。
手順②で解けた問題は、まだ記憶が新しいはずですので、少し間を置いても大丈夫です。
試験合格の課題は、手順②で抽出された問題を、如何に理解して解けるようにするかです。
手順②で間違えた問題は、出題項目一覧へのチェックと併せ、問題集やテキストに付箋を貼り、解けるようになるまで、毎日こなしてください。
(スキマ時間に取り組むのも効果的です。)
特に相続アドバイザー3級の試験では、過去問の類似問題の出題率が高いため、手順③をしっかり行えば、基礎編40問で8割(64点)は得点できます。
手順③をしっかり行うことは、基礎知識編40問の得点向上に役立つだけでなく、技能・応用編の10問の得点向上にも役立ちます。
また、相続は金融実務の中でも複雑だから、しっかり問題を解けるようになるのかと、不安に感じるかもしれませんが心配ありません。
相続アドバイザー3級の試験においては、繰り返しとなりますが、出題範囲はかなり限定的です。
そのため、毎日こなせば解けるようになりますし、毎日向き合えば、記憶にも残りやすいです。

問題集全ての回の技能・応用10問を直近順に解いていきましょう。
ここから、いよいよ技能・応用編です。
最初は問題形式に慣れていないことから、間違えが目立つと思いますが、気にせず解き進んでください。
出題傾向はパターン化しているので、問題数をこなしていけば、すぐに点数に反映されてきます。
手順としては10問解いたら、一旦答え合わせをし、間違えた問題や自信が持てなかった問題を見直してから、次の回へ進みましょう。
また、手順③同様に間違えた問題は、出題項目一覧へのチェックと併せ、問題集とテキストに付箋を貼って、定期的に目を通しましょう。
技能・応用問題では、基礎編の問題が横断的に問われる部分があるので、点と点を線で繋げる演習に適しているよ。
問題集全ての問題を直近から順に解いていきましょう。
この段階までたどり着けば、過去問1回分を解くぐらいであれば、苦痛なく取組めるはずです。
手順⑤の狙いは、理解できていなかった問題、判断に迷った問題、ミスした問題の確認です。
ここで間違えた問題(迷い、ミス含む)は必ず原因を追究してください。
手順⑤で間違えたり迷う問題は、試験本番でも繰り返す可能性があるので、問題集の余白部分に箇条書で良いので記載して、試験当日に会場に着いたら、必ず目を通すようにしてください。
試験に落ちる人ほど、手順⑤の間違いに対する認識が甘いです!
銀行業務検定相続アドバイザー3級の勉強のポイント
ここでは相続アドバイザー3級の合否の分かれ目になるポイントを簡単にお伝えします。
相続アドバイザー3級ポイント①:基礎編と応用・技能編で重複する項目は捨てない
相続アドバイザー3級では、基礎知識40問と応用・技能10問の計50問で構成されています。
そして、下記の項目では基礎知識編と応用・技能編で内容が重複することが多いです。
- 相続預金の払い戻し
- 遺留分
- 法定相続人(分)
- 相続税の計算
したがって、上記部分については、多少の苦手意識があっても、極力諦めずに解けるようにしていきましょう。
基礎と応用で重複する内容は、出題者が特に意識している内容でもあるので、捨てることは絶対に避けよう。
相続アドバイザー3級ポイント②:法務と税務を混合しない
相続においては、法律の問題と税務の問題が両方発生するため複雑に感じます。
そのため、今勉強している内容が、税務なのか法務なのか常に意識することが大事です。
個別項目でおおよその割合を見ると以下の通り。
法務 | 税務 | |
相続の基礎知識 20問 | 6~7割 | 3~4割 |
相続と金融実務 15問 | 10割 | 0 |
その他周辺知識 5問 | 6~8割 | 2~4割 |
事例付四答択一式 10問 | 7~8割 | 2~3割 |
法務割合が多い理由として、税務に関しての具体的な説明は、有償無償問わず法律違反となるため。
結果、税務より法務の方が必然的に重視されます。
また、混合で特に注意するのが、税務と法務で取扱いが異なる事項。
例えば相続の期限は、税務では相続税の期限を被相続人の死亡を「知った日」の翌日から10ヶ月以内と定めていますが、法務では合意の期限はありません。
他にも生命保険金について、税務では相続財産として扱われますが、法務では一般的に相続財産にみなされません。
銀行業務検定相続アドバイザー3級の勉強法まとめ
この記事では、銀行業務検定相続アドバイザー3級の難易度、おすすめ教材、具体的な勉強法(対策)についてお伝えしました。
相続アドバイザー3級についてまとめたのがこちら
ポイント
合格率は毎回3~4割。
過去問題集は必須
テキストはあった方が良い
過去問の反復が合格への絶対的近道
繰り返しとなりますが、相続アドバイザー3級においては、出題範囲が限定されており、過去の類似問題が多いです。
したがって、テキスト熟読(インプット)より、過去問題集を何度も解くほう(アウトプット)が効率的です。
銀行業務検定は実務で活かす意味合いよりも、社内での評価に利用されやすい意味合いの方が強い試験であることから、とにかく「合格」することが重要な試験です。
(金融機関の人事の昇進昇格の条件の1つに、銀行業務検定の取得が取りこまれています。)
せっかく貴重なオフの時間を用いるのであれば、ここでお伝えした効率的な勉強法を参考にして「一発合格」を目指してください。
当サイトでは、多忙だけど頑張るあなたを、情報発信という形で応援します。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
\問題集は必需品/
\問題集だけで不安な人はテキストも/
\相続実務スキルを高めたい人におすすめ/
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