【2025年2月更新】

相続って法律も銀行のルールも複雑だから試験勉強も大変そうだけど、効率的に合格できる勉強法ってあるの。



相続アドバイザー3級の合格率は4割ほど。一夜漬けで合格は厳しいけど、土台(FP2~3級、法務4~3級)がない方でも、本記事でお伝えする正しい勉強法で取り組めば、3~4週間(50~70時間)で合格は可能だよ。
土台の資格を保有してる方ならば、2週間(30時間)でも合格圏内に入りますし、法務の知識があると、融資関連の相続の勉強がスムーズに進みます。
- 相続アドバイザー3級の合格率・難易度
- 使うべき教材
- 具体的な勉強法(5つの手順)
- 勉強時の2つの注意点
銀行業務検定相続アドバイザー3級の直近7回の合格率推移
試験実施回 | 合格率 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 |
---|---|---|---|---|
2024年10月 | 34.99% | 1,788人 | 1,572人 | 550人 |
2024年3月 | 36.00% | 2,330人 | 2,025人 | 729人 |
2023年10月 | 27.94% | 2,549人 | 2,269人 | 634人 |
2023年3月 | 41.41% | 3,047人 | 2,678人 | 1,109人 |
2022年10月 | 39.23% | 3,219人 | 2,855人 | 1,120人 |
2022年3月 | 37.20% | 4,288人 | 3,702人 | 1,377人 |
2021年10月 | 38.44% | 4,454人 | 4,037人 | 1,552人 |
直近7回の平均合格率は36.85%となり、合格率が良いときと悪いときで差は14%ほどと、ややムラがあります。
ただし、相続アドバイザー3級受験者の平均勤続年数は15.8年であり、三本柱(財務・税務・法務)と比較すると高めなので、若手受験者で相続実務経験がないと、やや不利です。
科目 | 受験者平均勤続年数 |
---|---|
財務3級(2024年6月) | 5.9年 |
税務3級(2024年10月) | 7.0年 |
法務3級(2024年10月) | 4.9年 |
とは言え、本記事でお伝えする勉強法を参考にしてもらえれば、全く警戒する試験ではありません。(しっかり勉強すれば、三本柱の試験より点数は安定します。)
銀行業務検定相続アドバイザー3級の難易度
出題形式 | 四答択一式 40問(各2点) 事例付四答択一式 10問(各2点) |
---|---|
科目構成 | (1)基礎知識 四答択一式 相続の基礎知識 20問 相続と金融実務 15問 その他周辺知識 5問 (2)技能・応用 事例付四答択一式 10問 上記範囲での事例問題 |
合格基準 | 満点の60%以上(試験委員会にて最終決定) |
試験時間 | 120分 |
相続アドバイザー3級は過去問の類似問題が多く対策は練りやすいです。
また、銀行業務検定の三本柱(法務3級・税務3級・財務3級)と比べて、過去問の出題率が多いこと、奇問・難問の出題が少ないことから難易度は低いです。(実際に相続アドバイザー3級のほうが平均合格率も高い)
相続アドバイザー3級の試験内容
渉外担当者や窓口担当者が相続に関する相談業務にあたって必要とされる基礎知識・実務知識について、その習得程度を測定します。
経済法令研究会より引用
相続アドバイザー3級の特徴として、一般的な知識の他に知識を活用した問題解決力も若干求められますが、対象者は役席者・専任者でなく担当者なので、実務経験がなくても過去問を解いていけば、合格できる知識は身につくので心配は不要です。
注意点として、相続アドバイザー3級受験者の平均年齢は高く、受験者の多くは相続実務に対し一定数の経験と知識を有していることから、合格率だけを見て相続アドバイザー3級を侮らないこと。
相続アドバイザー3級の平均年齢
試験実施回 | 平均受験者年齢 |
---|---|
2024年10月 | 40.2歳 |
2024年3月 | 40.0歳 |
2023年10月 | 40.3歳 |
直近3回の平均受験者年齢は40.1歳。
銀行業務検定の三本柱(財務・法務・税務)2級よりも平均年齢は高いですが、大学時代にFPで相続を学んでいるのであれば、一定数の問題は初見でなくなることから、入行1年目でも合格は容易なので臆することなく受験しましょう。
相続アドバイザー3級で正答率30%を下回った過去問題一覧
試験実施回 | 正答率3割未満の問題一覧 |
---|---|
2024年10月 5問 | 相続人の把握 農地の相続と転用 不動産の有効活用と相続対策 個人版事業承継税制 特約付き信託 |
2024年3月 5問 | 不動産登記制度および相続登記 土地の相続税評価 相続税の課税価格の合計額の計算 成年後見制度 株価引下げ対策 |
2023年10月 8問 | 遺言によってのみできる行為 遺言の執行等 生前対策の特例 代理人・使者の確認事項 当座勘定取引先の死亡 特別受益額の計算 遺留分制度と遺留分侵害額 課税遺産総額の計算 |
相続アドバイザー3級は3週間の勉強で合格できますが、9割以上を得点するのは難しいです。
上記のような奇問・難問が混入しているからです。
ただし、上記の表から分かるとおり、奇問・難問の出題数は少なく、すべて不正解でも合格には影響はないため、定番の問題をしっかり解けるようにしておけば、一発合格できます。
相続アドバイザー3級の試験時間
試験時間は120分、問題数は50問のため1問あたり2分強ですが、相続アドバイザー3級は、知っていれば解ける、知らなければ解けないという内容です。
したがって、応用力が求められる試験ではないため、時間不足に陥ることはありません。
相続アドバイザー3級の試験日と受験料
2024年度の全国一斉試験日は、2024年10月27日(日)と2025年3月2日(日)の年2回。
ただし、CBT試験の導入により、1年に何度でも受験できるようになったため、合格するための難易度は下がったと言えます。
受験料は全国一斉試験もCBT試験も5,500円(税込)。
相続アドバイザー3級は、転職では役立たない試験にもかかわらず値段は高めなので、受験するからには一発合格を狙いましょう。
銀行業務検定相続アドバイザー3級CBT試験時の注意点
2020年より開始となったCBT試験ですが注意点は2つあります。
- 早い時期だと最新の教材がない
- マイ電卓が持ち込めない(PCの電卓機能を利用)
相続アドバイザー3級CBT試験の注意点①:早い時期だと最新の教材がない
相続アドバイザー3級CBT試験は5月より受験することが可能ですが、全国一斉試験は10月・3月開催のため、早い時期だと最新教材がまだ出版されておらず、前年度の教材で勉強することになります。
前年度教材でもそれほど支障はありませんが、気になるのであれば今年度の教材の出版を確認してから申込みしましょう。
相続アドバイザー3級CBT試験の注意点②:マイ電卓が持ち込めない
相続アドバイザー3級CBT試験では、電卓持ち込みは不可のため、PCの電卓機能を使って問題を解くことになります。
相続アドバイザー3級試験では、一部の設問で電卓を使うことになりますが、CBT試験の場合、PC電卓となるので、時間のロスは覚悟したほうが良いです。
ただし、財務や税務と比べ計算以外の問題が多いので、過去問題集で勉強をしっかり行っていれば、余裕時間は捻出できるので、そこまで心配になる必要はありません。
銀行業務検定相続アドバイザー3級のおすすめ教材
過去問です。
これは必ず購入してください。
以下のような方には公式テキスト購入もおすすめします。
- 問題集だけでは心配な方
- 実務経験が少ない方
- 法務3級レベルの知識がない方
- 相続アドバイザー2級を受験される方
相続アドバイザー3級には、三本柱(財務・税務・法務)や年金アドバイザーに用意されている「直前整理70」という、非常に優秀なテキストが存在しません。
さらに相続アドバイザー2級のテキスト教材も存在しないので、相続アドバイザー2級の受験者予定者は3級公式テキストを購入しても損はしません。



問題集の解説だけでもインプットは可能だけど、基礎知識がないとインプットが曖昧になってしまう可能性があるので注意しよう。



試験合格はもちろんだけど、相続実務のスキルを高めたい人向けのテキストはないの。



そんな人には、こちらの本がおすすめだよ。
相続の本は税務か法務のどちらかに偏りになりますが、この本は法務と税務、そして金融実務やFPの内容をコンパクトに収めています。
銀行業務検定の公式教材と同じ経済法令研究会が出版しているので、試験対策教材として活用できます。
ただし、相続アドバイザー3級は、過去問の類似問題の出題率が非常に高いため、問題集を反復するだけでも合格点には達します。



相続アドバイザー3級の教材は大型本屋でしか扱っておらず、試験直前になると品薄になってしまうため、早めに購入しておくことをおすすめします。
試験は過去問を中心に出題されるので、問題集は必須。
”直前整理”という優秀な教材が、相続アドバイザー3級には存在しない。
相続アドバイザー2・3級の公式テキストは3級テキストのみ。
実務スキル向上を図るなら”相続アドバイザーの実務”はおすすめ。
銀行業務検定相続アドバイザー3級の出題傾向と合格するためのポイント


まずは問題集を始める前に、冒頭部分の出題項目一覧を確認してみてください。
細かい項目ごとに、過去何回出題されたか、記載されております。
そこで1つ気づくことがあります。
連続して出題されている項目が非常に多いことに!
毎回出題されている項目は、主催者側が重要視している問題なので、捨てることは絶対に避けましょう。



相続と聞くと範囲が広いイメージがあるけど、相続アドバイザー3級の試験ではかなり限定されるよ。
3回以上出題されている問題を、確実に理解しておけば大丈夫。
毎回似た問題が出題されるので、過去問中心の勉強で問題なし。



僕自身、相続実務の経験は少なかったけど、相続アドバイザー3級の勉強は過去問中心の取組みでスラスラ解けるようになったよ。
銀行業務検定相続アドバイザー3級の勉強方法を5つの手順で解説
ここからは、相続アドバイザー3級に合格するための具体的な勉強手順を5つのフェーズに分けて説明していきます。
どうしても時間が取れない方も、手順①②③を優先して取り組みましょう。
手順①:問題集の基礎知識編40問を、解説文(とテキスト)を一通り読みながら解く(インプット)



手順①から、いきなり問題集ってハードル高くない!?
そう感じる方もいると思いますが、相続アドバイザー3級に関しては、問題集を解きながらインプットを行うことが有効です。
相続アドバイザー3級に関しては、財務・税務・法務の三本柱と比較して過去問の出題率が高く、基礎知識編を取組めば、ほぼ取りこぼしなくインプットできるからです。
手順①の狙いは、技能・応用編の10問に対応できるように、相続の二大要素である民法と相続税法を確実にインプットすることなので、問題を解く際は解説文を見て納得しながら解いていきましょう。
手順①から手順⑤まで提示してありますが、最大の山場は手順①。



手順①さえ乗り切れば、その後は加速的に勉強速度は上がるよ。
手順②:再度、問題集の基礎知識編40問を一通り解く(アウトプット)
手順②の狙いは、インプットした内容が正確にアウトプットできているかの確認です。
手順①では、解説文を見ながら解いているため、何が理解できて、何が理解できていないか、客観的に把握するのは難しいです。
解けなかった問題は解説文やテキストをしっかり読んで、理解を深めると同時に、出題項目一覧へチェックしてみましょう。
チェックを入れると、自身の苦手としている部分が可視化できます。
出題頻度が過去1回の項目や正答率が30%以下の問題であれば、後回しで良いです。
それらの問題は、満点を取らせないための問題であり、また技能・応用編に役立つ問題でもないため、まともに向き合ってもコスパは悪いです。
手順③:間違えた問題と曖昧だった問題だけを一通り見直して再度解く。
手順②で解けた問題はまだ記憶が新しいはずですので、少し間を置いても大丈夫です。
試験合格の課題は、手順②で抽出された問題を如何に理解して解けるようにするかです。
手順②で間違えた問題は、出題項目一覧へのチェックと併せ、問題集やテキストに付箋を貼り、解けるようになるまで毎日こなしてください。(スキマ時間に取り組むのも効果的です。)
相続アドバイザー3級は過去問の類似問題の出題率が高いため、手順③をしっかり行えば、基礎編40問で8割(64点)は得点できます。



基礎編で8割確保できれば、事例問題である応用が解けなくても合格ラインには達するね。
手順③をしっかり行うことは、基礎知識編40問の得点向上に役立つだけでなく、技能・応用編の10問の得点向上にも役立ちます。
相続は金融実務の中でも複雑だから、しっかり問題を解けるようになるのかと、不安に感じるかもしれませんが心配ありません。
相続アドバイザー3級の試験においては繰り返しとなりますが、出題範囲は限定的なため、毎日こなせば解けるようになりますし、毎日向き合えば記憶にも残りやすいです。



相続アドバイザーは4級がなく3級が初歩試験となるため、問われる内容も捻りのない基礎問題が多いよ。
手順④:問題集全ての回の技能・応用10問を直近順に解く
ここから技能・応用編です。
最初は問題形式に慣れていないことから、間違えが目立つと思いますが、気にせず解き進んでください。
出題傾向はパターン化しているので、問題数をこなしていけば、すぐに点数に反映されてきます。
手順としては10問解いたら一旦答え合わせをし、間違えた問題や自信が持てなかった問題を見直してから、次の回へ進みましょう。
また、手順③同様に間違えた問題は、出題項目一覧へのチェックと併せ、問題集とテキストに付箋を貼って、定期的に目を通しましょう。



技能・応用問題では、基礎編の問題が横断的に問われる部分があるので、点と点を線で繋げる演習に適しているよ。
手順⑤:問題集全ての問題を直近から順に解く
この段階までたどり着けば、過去問1回分を解くぐらいであれば、苦痛なく取組めるはずです。
手順⑤の狙いは、理解できていなかった問題、判断に迷った問題、ミスした問題の確認です。
ここで間違えた問題(迷い、ミス含む)は必ず原因を追究してください。
手順⑤で間違えたり迷う問題は、試験本番でも繰り返す可能性があるので、問題集の余白部分に箇条書で良いので記載して、試験当日に会場に着いたら、必ず目を通すようにしてください。
試験に落ちる人ほど、手順⑤の間違いに対する認識が甘いです!
銀行業務検定相続アドバイザー3級勉強時の2つの注意点


ここでは相続アドバイザー3級の合否の分かれ目になる2つの注意点をお伝えします。
- 基礎編と応用・技能編で重複する項目は捨てない
- 法務と税務を混合しない
相続アドバイザー3級を勉強する前に読んでみてください。
相続アドバイザー3級ポイント①:基礎編と応用・技能編で重複する項目は捨てない
相続アドバイザー3級では、基礎知識40問と応用・技能10問の計50問で構成されていますが、下記の項目では基礎知識編と応用・技能編で内容が重複することが多いため、多少の苦手意識があっても、極力諦めずに解けるようにしていきましょう。
- 相続預金の払い戻し
- 遺留分
- 法定相続人(分)
- 相続税の計算



基礎と応用で重複する内容は、出題者が特に意識している内容でもあるので、捨てることは絶対に避けよう。
相続アドバイザー3級ポイント②:法務と税務を混合しない
相続においては、法律の問題と税務の問題が両方発生するため、今勉強している内容が、税務なのか法務なのか常に意識することが大事です。



試験では税務と法務、どちらが問われやすいの。



法務の方が圧倒的に問われやすいよ。
個別項目で割合を見ると以下の通り。
法務 | 税務 | |
---|---|---|
相続の基礎知識 20問 | 6~7割 | 3~4割 |
相続と金融実務 15問 | 10割 | 0 |
その他周辺知識 5問 | 6~8割 | 2~4割 |
事例付四答択一式 10問 | 7~8割 | 2~3割 |
法務割合が多い理由として、税務に関しての具体的な説明は、有償無償問わず法律違反となるため。
結果、税務より法務の方が必然的に重視されます。



法務関連の内容が多いので、法務3級の知識があると心強いですよ。
税務と法務で取扱いが異なる事項も注意が必要です。
例えば相続の期限は、税務では相続税の期限を被相続人の死亡を「知った日」の翌日から10ヶ月以内と定めていますが、法務では合意の期限はありません。
他にも生命保険金について、税務では相続財産として扱われますが、法務では一般的に相続財産にみなされません。
銀行業務検定相続アドバイザー3級を合格した後に受けたい試験
銀行業務検定の主要柱である財務・税務・法務3級がまだなら、優先して受験しておきましょう。
相続アドバイザー3級も主要柱同様に2級もあるので、さらに詳しく学ぶなら相続アドバイザー2級にも挑戦してみましょう。
ただし、相続アドバイザー2級は記述式になるため、難易度は大きく上がります。
FP2級試験がまだなら視野に入れましょう。
相続アドバイザー3級をしっかり勉強していれば、相続・事業継承の分野は勉強時間がかなり圧縮されるため、余った時間を他の分野に注力できます。
銀行業務検定相続アドバイザー3級の合格率・難易度・勉強法まとめ


本記事では、銀行業務検定相続アドバイザー3級の難易度、おすすめ教材、具体的な勉強法(対策)についてお伝えしました。
相続アドバイザー3級についてまとめたのがこちら。
- 平均合格率は36%。
- 過去問題集は必須
- テキストはあった方が良い
- 過去問の反復が合格への絶対的近道
繰り返しとなりますが、相続アドバイザー3級は出題範囲が限定されており過去の類似問題が多いので、テキスト熟読(インプット)より、過去問題集を何度も解くほう(アウトプット)が効率的です。
銀行業務検定は実務で活かす意味合いよりも、社内での評価に利用されやすい意味合いの方が強い試験であることから、とにかく「合格」することが重要な試験です。
(金融機関の人事の昇進昇格の条件の1つに、銀行業務検定の取得が取りこまれています。)
せっかく貴重なオフの時間を用いるのであれば、ここでお伝えした効率的な勉強法を参考にして「一発合格」を目指してください。
当サイトでは、多忙だけど頑張るあなたを、情報発信という形で応援します。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
\問題集は必需品/
\問題集だけで不安な人はテキストも/
\相続実務スキルを高めたい人におすすめ/