FP2級の独学と通信講座のメリット・デメリットは以下の通り。
独学
通信講座
- スキマ時間でも勉強しやすい
- 教材が充実している
- いきなりFP2級に挑戦できる
FP2級は独学でも合格を狙える試験ですが、リーズナブルな価格で良質な通信講座が受講できるうえに、最近ではFP2級難易度にもムラがあるため、一発合格を狙うなら通信講座を視野に入れるべきです。
本記事では、FP2級の独学と通信講座のメリット・デメリットの具体的な解説に加えて、独学がおすすめな人、通信講座がおすすめな人の特徴についてもお伝えします。
FP2級試験の独学・通信講座に関わる特徴(注意点)についてもお伝えしますので、独学か通信講座か迷っている方は参考にしてください。
FP2級の知っておきたい特徴(注意点)
FP2級を独学か通信講座か検討する前に、知っておくべきことをお伝えします。
ここで紹介する特徴や注意点を知らないと、後で後悔する可能性があります。
FP2級は受験資格がある
FP2級は簿記や宅建士と違い受験資格が設けられています。
具体的には下記4つのうち、どれかに該当している必要があります。
- FP3級に合格している
- FP業務に関し2年以上の実務経験を有している
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級に合格している
- 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
どれにも該当していない場合、独学の場合はFP3級を取得してFP2級の受験資格を得ることが一般的ですが、AFP認定研修対象の通信講座に申し込めば、いきなりFP2級にも挑戦できますし、合格すればFP2級とAFPの2つの資格を取得できます。
有名どころだと、ECC、フォーサイト、ユーキャン、TAC、資格の大原のメイン講座はAFP認定研修の対象となります。
FP2級(AFP)の合格率と受験料
独学が通じるかどうかの判断基準の1つが合格率です。
金融財政事情研究会(きんざい)と日本FP協会の学科の合格率は以下の通り。
試験年月 | FP2級 | AFP |
---|---|---|
2023年9月 | 22.75% | 53.54% |
2023年5月 | 17.51% | 48.82% |
2023年1月 | 29.07% | 56.12% |
2022年9月 | 15.75% | 42.16% |
2022年5月 | 22.11% | 49.20% |
上記の合格率は違えど、FP2級もAFPも学科の試験内容は全く同じです。
えっ、じゃあどうして合格率が2倍近く違うの。
FP2級は受験資格さえ満たせば、誰でも受験できるのに対して、AFPは認定研修が前提条件となり、記念受験者や意識低い系は少ないからだよ。
FP2級は2年の実務経験をクリアすれば受験資格は得られるうえに、金融関係ではFP2級が推奨(半強制)されているため、勉強意識が低い層も受験者の中に紛れ込んでいます。
FP協会のAFPはAFP認定研修が前提条件であり、FP協会の受験者は勉強意識が高い通信・通学講座の受講者が主体となることから、同じ試験内容にも関わらず、合格率に差が出てくるのです。
続いて実技試験の合格率は以下の通り。
試験年月 | FP2級 | AFP |
---|---|---|
2023年9月 | 41.36% | 52.02% |
2023年5月 | 39.76% | 58.61% |
2023年1月 | 34.09% | 59.53% |
2022年9月 | 41.54% | 56.55% |
2022年5月 | 31.44% | 62.11% |
実技試験は学科と違い、試験内容は異なるため参考程度の資料となります。
通信講座の場合、FP協会の実技対策を主体として講義やカリキュラムが組まれています。
独学でお世話になる市販教材は、金融財政事情研究会(きんざい)の実技試験を記載していることが多いです。
そのため、独学組はきんざいの実技、通信講座組はFP協会の実技を受験する傾向にあります。
受験料は学科が4,200円、実技が4,500円と結構高いため、何度も落ちると、受験料に伴う出費が痛手となります。
試験は年3回あることから、年1回の試験と違い緊張感がなく、結果として何度も記念受験する人が多いよ。
後述しますが、FP試験は法改正に伴い試験内容の一部が変わるため、試験勉強が長引くと教材を買い替える必要が出てきます。
FP2級の試験月と法令基準月
試験は年3回(5月・9月・1月)に対し、法令基準月は2パターン(4月・10月)
試験月 | 法令基準日 |
---|---|
2024年1月 | 2023年10月1日 |
2023年9月 | 2023年4月1日 |
2023年5月 | 2022年10月1日 |
独学で9月にFP2級を受験する場合は注意が必要です。
FP2級の市販教材の最新版は、例年6月~7月に発売されるため、9月試験の場合、新教材発売から試験日までの期間が短くなるからです。
1月受験の場合、10月の法改正に教材が対応していない部分があるので、自身で情報収集する必要があります。
ただし、法改正の問題に対応できなくても、しっかり勉強すれば合格ラインは十分に狙える試験であり、法改正も1月・4月が多いため、過度な心配は不要です。
通信講座であれば、法改正に対応してくれるため心配不要です。
FP2級通信講座で話題の教育訓練給付金について
「教育訓練給付金制度」は、働く方の主体的な能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とし、教育訓練受講に支払った費用の一部が支給されるものです。
厚生労働省HPより引用
難しい話は置いておいて、一定の要件を満たす受講者が『教育訓練給付金制度』に認定されている講座を選択して修了すれば、試験の合否に関わらず受講料の20%が還付されます。
そのため、60,000円の講座においても『教育訓練給付金制度』に認定されていれば、実質負担は48,000円になります。
- 受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上(初めて支給を受けようとする方については、当分の間、1年以上)あること。
- 受講開始日時点で被保険者でない方は、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長が行われた場合は最大20年以内)であること。
- 前回の教育訓練給付金受給から、今回受講開始日前までに3年以上経過していること。
FP2級通信講座のサービス提供は完全ではない
- 動画サービス
- 質問サービス
- eラーニング
- 紙ベースのテキスト
これらは通信講座の代表的なサービスですが、eラーニングがなかったり、質問サービスが制限回数ありだったりと、通信講座によってはサービスが不足していることがあります。
また、一概に動画サービスと言っても、20時間以内の講座もあれば、50時間以上の講座もあるため、通信講座を検討する際は、対象の講座が自分の望みのサービスを十分に提供しているか、必ず確認をしましょう。
スマホを活用した勉強を行いたいから通信講座を選んだのに、
- サービスの大半がスマホ未対応だった
- まとまった時間を確保することを前提とした講座だった
このように、要望を満たしていない講座を選択する失敗は避けましょう。
では、ここからは本記事の本題に入ります。
FP2級独学のメリット・デメリット
独学のメリットとして真っ先に思いつくのは、費用があまりかからないことです。
しかしながら、デメリットも理解しておかないと、何度も不合格になり、度重なる受験料や教材の買換えにより、結果として通信講座より高くつく可能性があります。
独学メリット①:費用が安く済む
独学の1番の魅力はやはり費用面。
FP2級市販教材の中で人気の『みんなが欲しかったシリーズ』のテキストと問題集を購入しても、2冊で僅か4,000円程。
試験料は学科・実技8,700円なので、一発合格できれば、受験料+教材費でも15,000円の予算に収まります。
独学メリット②:自分に合った教材を選択できる
通信講座や通学では、提供された教材に自分が合わせる必要がありますが、独学は選択の自由があります。
本屋に行けば気づきますが、FP2級の教材は簿記2級や宅建士と同様に、非常に市販教材が充実しているため、自分に合った教材を選択すれば、勉強の効果は飛躍的に上がります。
教材がたくさんあって、何を買えばいいか分からない人は、こちらの記事を参照してください。
独学デメリット①:挫折しやすい
FP2級は範囲が非常に広く、6つの異なる分野を勉強しないといけないため、未経験の分野が多いと基礎概念を身に着けるのも一苦労します。
また、金融デリバティブや不動産買換えなど、自身で理解するのが難しい項目も含まれているため、
- 先が全然見えてこなくて嫌気がさす
- 分からない問題が蓄積されて嫌気がさす
このようなリスクがあります。
- 実務経験が少ない
- 勉強の習慣がない
上記に当てはまる方は注意です。
独学デメリット②:時間がかかる
市販教材の場合、重要事項が分かりにくいことから、時に回り道(出題率が低い内容に注力)してしまうこともあります。
また、インプット教材はテキスト主体のため、理解に時間がかかることも多々あります。
FP初学者あるあるが、ほぼ出題されることがない事項を必死に勉強し、絶対に押さえておくべき事項を疎かにしてしまうこと。
アウトプットにおいても難問にぶつかった時、自力で解決することが前提となるため、解決に時間を要してしまいます。
独学デメリット③:間違ったまま突き進む可能性がある
市販教材の場合、テキストに記載してある内容を、自分なりに理解して進めていくことになります。
しかし、実は『自分なり』というのが厄介で、間違えて解釈してしまったり、細かい内容について間違えたまま記憶してしまうことがあります。
ただし、大半は問題集を反復していく中で、間違いに気がつき修正できるのですが、一部はすり抜けてしまうこともあります。
僕自身の体験談ですが、教育贈与の一部項目において、見事に試験本番まで誤って理解していましたね。
独学デメリット④:法改正情報を自分で収集する必要がある
地味に大変なのが④です。
FP試験の法令基準日は年2回(4月1日と10月1日)あるのですが、4月は特に変動があります。
FPは6分野あるので、全ての項目に対して情報収集は大変です。
ただし、4月と1月を除けば、大きな変更は少ないので、最新の市販教材(4月変更対応済)を利用していれば、そこまで不安にならなくて大丈夫です。
6~7月に販売される市販教材は、4月の法改正に対応しているので、9月受験(法令基準日4月)の場合、自分で情報収集する手間はなくなるよ。
FP2級は独学勉強が向いている人
- お金をかけたくない
- 時間に余裕がある
- 計画を練って勉強ができる
- 難しい内容も自力で理解していく覚悟がある
まとまった時間が取れる方や、合格率20%ほどの試験を一発合格していて勉強慣れしている方であれば、費用が安く済む独学のほうが向いています。
独学で勉強する際は、こちらの記事を参照してください。
FP2級通信講座のメリット・デメリット
- スキマ時間でも勉強しやすい
- 教材が充実している
- いきなりFP2級に挑戦できる
通学と独学の間となる通信講座。
FP2級を通信講座で勉強される方は多く、通信講座も幅広く展開されています。
通信講座はお金はかかりますが、費用や時間に対するコスパは高いのでおすすめです。
通信講座によって提供するサービスの差があるため、メリットについては共通事項と一部事項に分けて解説します。
通信講座共通メリット①:効率良く勉強できる
通信講座の運営会社は、FP試験の出題傾向や受験者が苦手とするポイントを把握しています。
また、これらポイントと併せて、受験テクニックも学ぶことができるため、独学と比較して少ない時間で、より高い効果が期待できます。
通信講座を選ぶ理由の1つが、時間をお金で買うこと!
忙しい社会人だと時間がないため、独学スタイルが身についている人でも通信講座を検討するわけね。
通信講座共通メリット②:学習方針が定まっている
通信講座では、受験のプロが教材や講座に携わっているため、合格するための道筋がしっかりしています。
そのため、寄り道するリスクが少なくなるだけでなく、勉強スケジュールも可視化できるため、計画倒れのリスクは減らせます。
FP2級は範囲が広く内容も難しくなるため、初学者が合格までの計画を練っても、都度修正が求められます。
計画通りいかなくなってくると、モチベーションが低下してしまい挫折するリスクが出てくるよ。
通信講座共通メリット③:法改正の情報収集が容易
通信講座では法改正にも対応しているため、調べる手間を省くことができます。
法改正の内容は一部を除き、時間に対する効果は低いため、簡潔に済ませるに越したことはありません。
通信講座個別メリット①:スキマ時間でも勉強しやすい
eラーニングが充実している通信講座を選択すれば、通勤時間・昼休憩・少しの待ち時間を利用して、スマホで気軽に勉強できます。
1日においてスキマ時間は意外にも多く、スキマ時間の勉強も積み上がれば成果に反映されます。
スマホ1つで、インプットだけでなくアウトプットも取り組めるため、まとまった時間を確保できない人には、頼もしいツールになります。
通信講座個別メリット②:教材が充実している。
独学ではインプット教材はテキスト主体となりますが、通信講座ではテキストに加え『動画講義』という強力なメディアが加わります。
動画講義は情報量も多く、活字や図解では難しく感じる内容も、分かりやすく提供してくれます。
アウトプットの問題集においても、多くがインプットと連動しているため、勉強も捗る仕様になっています。
学生時代に経験があるけど、教科書を読んでいても中々理解できないことも、先生に教わるとすんなり理解できたことが数えきれないぐらいあったことから、動画講義こそが通信講座の1番の強みだと思っています。
通信講座個別メリット③:いきなりFP2級を受験をできる
前述した通り、FP2級は簿記や宅建と違い受験資格があるため、人によってはFP2級をいきなり受験できない場合があります。
しかしながら、AFP認定講座に指定されている通信講座を選択すれば、受験無資格者でも、いきなりFP2級を受験することも可能です。
AFP認定講座に指定されている通信講座は、FP3級未受験者を前提としているため、FPの勉強が初めての方でも心配不要です。
通信講座デメリット①:お金はかかる
独学ならば教材だけで1万円を下回りますが、通信講座ではメリットが大きい分、費用も高くなってしまいます。
具体的には、手軽さで人気上昇のスタディング講座においても29,700円(税込)。
ECC、フォーサイト、ユーキャンなどの人気講座は5万円超となり、これらの講座は教育訓練給付金の対象で、要件を満たせば20%割引となるも、独学と比較して費用が高いのは一目瞭然です。
ただし、単に金銭面だけで比較するのでなく、勉強の効率化による時間短縮も視野に入れましょう。
通信講座デメリット②:一定数は挫折する
通信講座は学習方針がしっかりしており、合格までの学習計画も明確です。
しかし、通学講座と比べると強制力は低いため、やはり一定数は挫折してしまいます。
具体的には、受験率(受験者数/応募者数)が高いと言われるECCの講座においても、受験率80%ほどです。
通信講座を選択して、気を緩めてしまうのは厳禁です。
FP2級は通信講座が向いている人
- 勉強時間を短縮したい
- 自分で学習計画を立てるのが苦手
- スマホ学習も積極的に取り入れたい
- FP3級を飛ばして、いきなりFP2級に挑戦したい
仕事や家事に追われ、勉強時間を少しでも減らしたいのであれば、勉強の効率化が図れる通信講座はおすすめです。
また、昇給・昇格の条件となってる場合や、勤務先から合格一時金が支給されるなど、費用が早期に回収が見込まれるなら、独学と比較して効率よく結果を出せる通信講座を検討しましょう。
通信講座を選ぶ際は、こちらの記事も参照してください。
FP2級の独学・通信講座メリット・デメリットまとめ
本記事では、FP2級の独学と通信講座のメリット・デメリットについてお伝えしました。
独学
- お金をかけたくない
- 時間に余裕がある
- 計画を練って勉強ができる
- 難しい内容も自力で理解していく覚悟がある
通信講座
- スキマ時間でも勉強しやすい
- 教材が充実している
- いきなりFP2級に挑戦できる
- 勉強時間を短縮したい
- 自分で学習計画を立てるのが苦手
- スマホ学習も積極的に取り入れたい
- FP3級を飛ばして、いきなりFP2級に挑戦したい
FP2級は市販教材も通信講座も充実しているため、どちらで勉強を行うか迷うのは当然のことです。
大事なことは、FP2級を受験する目的(昇給・お金の知識を身に着ける、上位資格を狙う等)を明確にしたうえで、自身に合った勉強手段を選択すること。
当サイトではFP2級受験に当たり、独学でも通信講座でも、手助けできる記事を用意しておりますので、ご参照ください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。