【2024年6月更新】
数ある銀行業務検定のなかで、最も得手不得意が別れると言われる財務2級を受験しようと思ったけど、ネット上で難易度や試験対策を検索しても、有益な情報が非常に少ない!
僕自身、実務経験はあまりなかったけど、本記事で紹介する勉強手順で一発合格できたので、難易度や合格率と併せて、中期間(4週間~1カ月半)の勉強で合格できる勉強法を紹介するよ。
銀行業務検定の中でも税務2級・法務2級と並び、社内での評価に利用されやすい財務2級。
財務2級は年2回(6月、10月)あり、毎回3,000人以上が受験している人気科目ですが、勉強法を誤ると成果がなかなか出ず合格できません。
- 財務2級の合格率・難易度
- 使うべき教材
- 高確率で合格できる勉強法(5つの手順)
- 合格率を上げる4つのテクニック
銀行業務検定財務2級の直近7回の合格率推移
試験実施回 | 合格率 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 |
---|---|---|---|---|
2023年10月 | 25.44% | 4,309人 | 3,203人 | 815人 |
2023年6月 | 23.09% | 4,529人 | 3,422人 | 790人 |
2022年10月 | 24.92% | 4,952人 | 3,740人 | 932人 |
2022年6月 | 21.46% | 5,309人 | 4,269人 | 916人 |
2021年10月 | 26.75% | 6,168人 | 4,867人 | 1,302人 |
2021年6月 | 28.79% | 6,480人 | 5,273人 | 1,518人 |
2020年10月 | 23.54% | 6,051人 | 4,924人 | 1,159人 |
直近7回の平均合格率は24.85%であり、最近では25%を下回る難易度になっています。
難易度が高くなっている理由として、問題形式が若干変更となると、対応できない受験生が多く出てくるからです。
例えば、キャッシュフロー計算書の問題で、よく出題される『営業キャッシュフロー』の問題に関しては完璧でも、不意に『投資キャッシュフロー』が出題されると、一気にお手上げになる受験者が多いことが挙げられます。
また、財務2級では財務3級と違い、応募したにも関わらず当日受験されない方が2割程いるのが特徴。
受験を放棄した2割の中には、おそらく過去問題集をさらりとやってみて、その難しさに心を折られた人も数多くいるはずです。
銀行業務検定財務2級の難易度
出題形式 | 記述式 ―10題 |
---|---|
科目構成 | 財務諸表・財務分析(非財務的要素を含む) |
合格基準 | 満点の60%以上(試験委員会にて最終決定) |
試験時間 | 180分 |
出題割合は、財務諸表5割、財務分析5割です。
財務2級の難易度ですが、記述式になったことで財務3級のように答えを消去法で絞っていく戦法は取れず、難易度は財務3級より格段に上がっています。
法務2級と違い、理論問題と計算問題は知っていないと、解答欄が空白と化するのも財務2級の特徴。(法務2級の場合、小六法持ち込み可のため、知識が曖昧でも空欄は防げます。)
財務2級の試験内容
役席者・専担者等を対象に、企業の実態把握と与信判断に関する応用実践的な財務知識について、その習得程度を測定します。
経済法令研究会より引用
財務2級は役席者を対象とした試験であるため、試験の難易度は高いです。
試験内容ですが、財務2級では単に財務分析の計算を求めるのでなく、その求めた数値を用いて自分なりの分析を文章化できるかがポイントとなります。
財務3級であれば分析数値の意味が分からなくても、計算して答えを出せれば得点できましたが、財務2級では計算の答えを導き出すのは当然で、そこから先が本題になってきます。
財務2級の平均年齢
試験実施回 | 受験者平均年齢 |
---|---|
2023年10月 | 33.6歳 |
2023年6月 | 33.1歳 |
2022年10月 | 33.6歳 |
直近3回の平均受験者年齢は33.4歳。
財務2級は役席者等の昇任試験に利用されていますが、財務2級で得られる財務分析は稟議書作成にも役立つことから、係・担当者レベルの若手受験生も多く、受験者平均年齢は法務2級より2歳ほど若いです。
試験内容については、実務経験よりも専門知識のほうが重視されるため、本記事で紹介する勉強法を参考にすれば、20代でも合格はできます。
財務2級過去問題で平均点が低かった設問
試験実施回 | 平均点が低かった設問 |
---|---|
2023年10月 | 税効果会計(平均点:1.30 点) キャッシュ・フロー分析(平均点:2.83 点) |
2023年6月 | 合併(平均点:1.29 点) 減損損失(平均点:2.82 点) |
2022年10月 | 有形固定資産(3.09 点)キャッシュ・フロー分析(間接法)(3.25 点) |
表から分かる通り、財務2級では簿記1級レベルの内容を深く問われることもありますが、難易度の高い・低いの判断は、法務2級と比較した場合、容易できるのが救いです。
解法や理論を正確に暗記すれば、各項目共に満点も比較的狙いやすい試験でもあります。
財務2級の試験時間
試験時間は180分と長く感じますが、見直し時間を考慮すると、1問当たり15分と余裕はほとんどないです。
同レベルといわれる法務2級・税務2級と比較した場合、解答文に計算式が入ることが多い財務2級のほうが、時間にゆとりはあります。
ただし、計算する機会が多く、計算見直しにも時間がとられるため、計算においては常日ごろからスピードを重視しつつ、正確性もキープしていることが条件となります。
財務2級の試験日と受験料
2024年度の試験日は、2024年6月2日(日)と2024年10月27日(日)の年2回。
2020年から銀行業務検定においてもCBT試験が導入されましたが、記述式である財務2級は対象外です。
受験料は8,250円(税込)。
銀行内部でしか評価されない試験にも関わらず、受験料は簿記2級より高いので、受験するからには一発合格を狙いましょう。
銀行業務検定財務2級のおすすめ教材
過去問題集は必ず購入してください。
過去問題集なしで合格は無理ゲーです。
- 財務2級をいきなり受ける
- 財務3級合格後から間が空いている
このような方は、財務2級の公式テキストより、財務3級の過去問題集をおすすめします。
財務2級と3級の違いは、選択肢か記述かの違いだけであり、出題範囲はほぼ変わらないからです。
財務3級の過去問を完全に解けるようになれば、財務2級でも十分に太刀打ちできます。(特に財務分析項目)
公式テキストでは、各項目において例題として基本・応用問題が用意されているけど、あまり的を得ていないので、短期間で合格を狙う人向けではないよ。それより、過去問に充てた方が効率的だよ。
財務に関しては、インプット教材は財務2級と財務3級の問題集の解説文で十分です。
財務2級の教材は大型本屋でしか扱っておらず、試験直前になると品薄になってしまうため、早めに購入しておくことをおすすめします。
銀行業務検定財務2級に合格するための心構え
財務2級の出題項目は大きく2つに分かれます。
- 数値を求める(損益分岐点比率等)問題
- 説明を求める(財務分析の結果や理論問題等)問題
数値を求める問題は最終的な答えが合っていれば満点なので、その点は法務2級の記述問題と比較して、採点が分かりやすいです。
説明を求める問題も、財務分析で導いた数値を根拠として説明するため、法務2級のようなシビアな文章構成力は求められません。
財務2級では、法務2級や税務2級と違い100点の合格者が存在するのは、解答がシンプルだからだよ。
解答がシンプルゆえに、理論問題の知識や計算や分析の解法が曖昧だったりすると、点数は一気に落ちます。
財務2級は2級科目の中で、最も以下の方式が成り立ちます。
- 知っていれば高得点
- 知らなければ低得点
合格率が不安定なのも、この方式のせいです。
銀行業務検定財務2級の勉強方法を5つの手順で解説
ここからは、財務2級に合格するための具体的な勉強手順を、5つのフェーズに分けて説明していきます。
財務3級の知識がある方は、手順③からスタートしてください。
手順①:財務3級の過去問題集を解き、正確な計算式を身に着け、曖昧な部分を把握
財務に関しては、とにかく多くの問題に触れ、一度でも触れた問題に関しては、確実に解けることが理想です。
まずは財務3級の問題集で多くの問題に触れて、数値を求める問題に関しては、公式や計算式をしっかり暗記してください。
手順①では基本的な計算式(特に財務分析指標)を身に着けることが目的です。
間違えた部分は、なぜ間違えたか(知らなかった、勘違いしていた、失念していた等)理由を把握しておきましょう。
手順②:財務3級の過去問題集の間違えた問題と曖昧な問題だけを解く
重複しますが、財務2級では『知っていれば高得点、知らなければ低得点』であることが非常に顕著な試験であるため、インプット作業を妥協してはいけません。
選択の中に答えがある財務3級と違い、財務2級は消去法では答えは出ないし、出だしの計算式を間違えると、芋づる式で残りの答えまで影響が大きく出るのが財務2級の特徴だよ
手順③:財務2級の過去問題集を時間は気にせず直近から解く
ここから本格的なアウトプットの練習です。
理論問題の記述に関しては、模範解答に極力近い書き方を真似てください。
理想はそのまま丸暗記です。
1周目に関しては制限時間は設けず、今の自分の力量を試してみてください。(特に計算問題!)
1周目は苦戦して当たり前だから、正答率は全く気にしないでね。
手順④:問題集の間違えた箇所のみ再度見直し
試験合格の課題は、手順③で解けなかった問題を如何に理解して解けるようにするかです。
平均点が5点以上の問題はサービス問題なので、絶対解けるようにしましょう。
平均点が2点未満の問題は奇問なので、大まかに理解する程度で大丈夫です。
手順③で間違えた問題は付箋を貼り、解けるようになるまで毎日こなしてください。(スキマ時間に取り組むのも効果的です。)
とくに理論問題や頻繁に出てくる計算式は、条件反射で記述できるようにしましょう。
当日は1問当たり15分程で解答しないといけないため、基礎問題や頻度の高い問題は、すぐに手が動くようにならないといけません。
手順④あたりからは、勉強のスピードも上がってくるので、勉強計画の見直しも行ってください。
時間がない場合でも最低限ここまでやっておけば、悲惨な結果にはならないよ。
手順⑤:スピード重視で財務3級問題集→財務2級問題集の順番で解く
問題を解くにあたり、本番の練習も兼ねて実際に記述して解きましょう。
手順⑤では制限時間を設け、3級問題は1問1~2分、2級問題は1問15分(見直し時間含む)を目途とします。
手順⑤の狙いは、以下3つの問題の確認です。
- 理解できていなかった問題
- 判断に迷った問題
- ミスした問題
とくにミス問題は解けなかった問題と違い、頭の中だけで解くと表面化されないことがあります。
ここで間違えた問題は必ず原因を追究してください。
財務2級では、1つの計算ミスによる失点割合が税務2級よりも大きいので、ミスを甘くみてはいけません。
同じ個所をミスしているのであれば癖の可能性もありますので、別紙のメモ帳に記載して、試験当日に必ず目を通してください。
勉強時のミスを本番でも繰り返すのは愚の骨頂です。
試験に落ちる人ほど、ミスに対する認識が甘いです。
本番は時間との戦いでもあるから、ミスしやすい箇所を必ず意識しておこう。3級と違い、頭の中で描いた解法を書き出して見直しまでしようと思うと、1問18分はあっという間だよ。
銀行業務検定財務2級の合格率を上げる4つのポイント
ここからは、財務2級の合格率を少しでも上げるためのテクニックを紹介します。
- サービス問題を取りこぼさない
- 奇抜な問題が多い「問4」は後回しにする
- 分析指標は体系的に覚えておく
- 財務3級の問題集にも注力しておく
財務2級ポイント①:サービス問題を取りこぼさない
財務2級では10問各10点ですが、各問の難易度はムラがあります。
幸いにも財務2級の各問の難易度については、過去問をしっかり取り組めば、設問を見た瞬間にある程度は判定できます。
まずは最後まで解ける問題をミスなく確実に解くこと。
前述した通り、財務2級では最後の答えが合っていれば、満点が得られやすい試験なので、サービス問題で確実に点数を積み重ねましょう。
財務2級は各設問の難易度の落差が激しいので、試験に関する知識と併せて問題の難易度を見極める力も重要だよ。
財務2級ポイント②:奇抜な問題が多い「問4」は後回しにする
財務2級で高得点を狙うための鬼門が「問4」です。
過去の問題を見ていても、ファイナンスリース会計、連結決算の修正仕訳といった、難しい項目が出題されているため、問4に関しては、よほど自信がない限り後回しにしましょう。
試験は60点合格なので、問4が0点でも他でカバーすれば十分に合格できます。
また法務2級と違い中途半端に挑んでも、出だしの解法を間違えれば部分点すら期待できません。
試験は180分で10問のため、1問あたり18分の配分となりますが、問4を放棄すれば1問当たり2分多く確保でき、その2分を見直し時間に充てミスをなくした方が、期待値は高まります。
受験の目的は全問解くことでなく合格することです。
財務2級ポイント③:分析指標は体系的に覚えておく
昔、財務研修の際に講師から『2分で20項目の財務指標を記述してください』と言われたことがありました。
時間内に20項目を記述できた人には、ある共通点がありました。
共通点とは、各指標を体系的に記述していたことです。
例えば収益性指標ならば、基本となる「資本利益率」を先頭にして並べていきます。
- 総資本営業利益率(ROA)
- 総資本経常利益率
- 自己資本利益率(ROE)
さらに資本利益率は下記の通りに分解できます。
売上高○○利益率(○○利益/売上高)×◎◎資本回転率(売上高/◎◎資本)
○○には以下の言葉が当てはまります。
- 総
- 営業
- 経常
- 当期
上記言葉に付随して、売上に対する人件費を判定する「売上高人件費率」などの言葉も出てきます。
財務分析で出てくる指標というのは、単独でなく他の指標と繋がっているため、財務指標は単独で覚えるのでなく、体系的に身に着けておくと、当日の試験でもド忘れや迷うリスクは減りますし、分析の記述解答においても、理にかなった文章が構成できます。
余談ですが、ここで挙げた「資本利益率」は、財務指標の中でも極めて重要な指標であり、実務でも使い勝手が良いです。
「資本利益率」はBS項目の「資本」と、PL項目の「利益」で構成させているため、1つの指標で決算書全体の判定ができるからです。
「資本利益率」が業界の黒字指標を下回っていれば、下記の問題が疑われます。
- 保有資産に対して売上が出ていない(BSの問題)
- 売上に対して必要以上の経費が発生していること(PLの問題)
上記2つの問題から下記のような分析手順を踏めば、どの部分に問題があるのか判明します。
- 保有資産に対して、売上が出ていないことは、回転率の指標で分かります。
- 売上に対して、必要以上の経費が発生していることは、売上高○○利益率の指標で分かります。
資本利益率は投下資本(設備機械等)が必要となる製造業は低く、逆に投下資本があまり多くない小売りや飲食業などでは高くなる傾向があるよ。
財務2級ポイント④:財務3級の問題集にも注力しておく
財務2級のテキストを利用しない場合は、3級の過去問題集としっかり向き合いましょう。
財務2級の過去問題5回分のうち、1回程度の出題頻度の問題に関しては、財務2級の過去問だけでは取りこぼす可能性があるからです。
財務3級では毎回50問と数多く出題されるため、2級過去問の取りこぼし項目も十分カバーできるため、試験当日に2級の過去問で全く出題されていなかった項目が出題されても、基本問題であれば十分に太刀打ちできます。
財務2級の問題集で過去5回の出題項目を見てみると、過去5回のうち1回しか出題されていない項目が、意外に多いことが分かるよ。
銀行業務検定財務2級の勉強法まとめ
この記事では、銀行業務検定財務2級の合格率、難易度、おすすめ教材、具体的な勉強法(対策)についてお伝えしました。
財務2級についてまとめたのがこちら。
- 平均合格率は24%で難易度は高い傾向にある
- 試験は時間との戦い
- 過去問題集は必須
- 2級公式テキストより3級過去問題集の方が使い勝手が良い
- 本番では計算ミスにとにかく注意
- 解ける問題で確実に点を積み上げていく
財務2級において確実に合格圏に入るためには、「2級問題集と3級問題集」の組み合わせが効果的です。
ネット上では、2級問題集だけで十分という声もありますが、確実に合格圏内に入るためには懸念があります。
財務2級は年2回受験できますが、受験料が高いうえに、合格率の変動が激しいです。
そのため、一発合格を狙うなら、合格率20%弱の試験難易度を想定しなければいけません。
銀行業務検定2級は実務で活かす意味合いよりも、社内での評価に利用されやすい意味合いの方が特に強い試験であることから、とにかく「合格」することが重要な試験です。
(金融機関の人事の昇進昇格の条件の1つに、銀行業務検定の取得が取りこまれています。特に2級は利用されやすいです。)
せっかく貴重なお金と時間を費やすなら、ここでお伝えした効果的な勉強法を参考にして「一発合格」を目指してください。
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