FP1級の実技試験ってどうやって勉強すればいいの。
本番の面接ではどのような会話形式で行われるのかも気になる。
本記事を書いている僕も、ファイナンシャル・プランニング技能検定(FP)1級の実技試験を勉強するにあたり、情報量の少なさから勉強方法に戸惑いました。
周りにFP1級に合格した人もおらず、実際の難易度も見えてこない…
合格率は80%と分かっていたので楽観視していたものの、受験料28,000円という高さと、主な受験者はFP1級の学科に合格した猛者であることから不安もありました。
そして、これからFP1級実技試験を受験するあなたも、僕と同じ不安を抱えていると思い、本記事を作成しました。
- FP1級実技の短期勉強法(勉強期間は4週間)
- FP1級実技試験の5つの反省点
- FP1級実技対策で使うべき教材
- FP1級実技試験の当日の雰囲気(面接官とのやり取り含む)
- FP1級実技の勉強法を知りたい
- FP1級実技対策の使うべき教材を知りたい
- 受験者の生の失敗談を知りたい
- 面接官との実際のやり取りが気になる
- 学科試験の正答率は、不動産は100%、相続・事業継承は68%
- 5年以上の営業経験があり、”話す”ことに対し苦手意識は少ない
- 土日は家族の協力もあり、勉強を極力優先。
本記事を参考にすれば、FP1級実技試験の勉強法の他に、具体的な失敗例や試験当日の雰囲気も分かり、あなた独自の勉強法や対策が練られるようになります。
FP1級(実技試験)の特徴
- 受験料28,000円と激高
- 合格率は80%ほど
- 試験実施時期は2月、6月、9~10月の年3回
- 出題数は2問で『不動産』『相続・事業承継』
- 試験は面接のみで、問題文を15分で読み、その後面接官2名と12分の口述試験
受験料がぼったくりなので、必ず1回で受かる強い意志をもちましょう。
合格率80%超だからといって油断してはダメです。
10名いたら2名落ちます!
さらに、この10名はFP1級学科試験やCFP試験を突破した猛者であることを肝に銘じてください。
学科試験から実技試験までは5か月ほど空きますので、いつから実技試験勉強をするかも重要になってきます。
勉強開始時期ですが、合格体験談を読んでいると学科試験合格発表後が多いね。
試験は面接のみなので、たとえ頭で理解していても、言葉で表現できなければ落ちます。
FP1級(実技試験)のおすすめ教材
まずは、FP1級実技対策問題集(きんざい出版)を必ず買ってください。
もう一度、言います。
この問題集を、必ず買ってください!!
次に最低3回は解きましょう。
(4週間だと3回が限界ですww)
3回解けば、問題の傾向と頻出ポイントは分かってきます。
FP1級実技対策の教材は、この問題集と学科試験で利用した問題集のみで十分です。
FP1級の実技問題集は、これ一択と言っていいほど、ライバルとなる問題集(教材)がありません。
FP1級(実技試験)の勉強法のコツと事例
主な勉強法はシンプルで実技問題集を最低3周解くだけです!
ただし、何も考えずに3周解くだけではダメで、2つの意識を持ちましょう。
- 誰かに解説するイメージで問題に取り組む
- とにかく正確な知識を身に着ける
FP1級実技勉強のコツ①:誰かに解説するイメージで問題に取り組む
実技試験は面接であることを踏まえ、練習問題を解くときは、常に誰かに解説しているイメージをしてください。
そして、解きながら言葉に出してください。
周りにFP2級・3級受験者がいれば、その方に分かりやすく教える勉強法も有効だよ。
FP1級実技勉強のコツ②:とにかく正確な知識を身に着ける!
なぜ、正確な知識を身に着けることを徹底する必要があるのか。
FP1級実技試験では面接官が顧客の立場として質問してくることがあり、質問に対して間違った解答を堂々と解説すると大幅な減点となるからです。
間違っていなくても、曖昧な説明や自信のない説明は、面接官からみて心証が良くありません。
そのためか、FP1級試験では曖昧な場合や分からない質問に対しては『一度持ち帰って確認していきます』という”逃げる”コマンドもあります。
そんなわけで、次項では試験本番で正しい解答を、堂々と言葉で表現できる手法をお伝えします。
FP1級実技勉強事例①:Wordやメモアプリで情報を整理する
ここからは僕自身の勉強法の実例となります。
例えば「相続時精算課税」という語句が出た場合、以下の内容を自分の言葉で表現できるように、Wordで箇条書きでまとめます。
- 贈与時の1月1日において、60歳以上の尊属から贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上の子(代襲相続人・孫含む)が対象となる。
- 特別控除は2500万円で、繰り越し可能で、超過分は一律20%の贈与税が加算。
- 一度に金銭や不動産を財産移動でき、相続人に贈与税税額控除により、還付を受けられる点(暦年贈与は控除はできるが還付はなし)はメリットであるが、以下の4つのデメリットがある。
- ①精算課税により贈与した不動産は、小規模宅地の対象から外れる。
- ②物納財産の対象からも外れる。
- ③一度精算課税制度を選択したら、撤回できない。
- ④適用後は何年経過しようが、相続時に贈与財産を加算しないといけない。(暦年贈与は原則3年)
面接時に「相続時精算課税について教えてください」と問われたら、上記の内容を答える必要があります。
他にも下記のような質問に対して、テキストの解答でなく、自分の言葉で表現できるようWordで打ち込んでいました。
- 法人成りのメリットは何ですか
- 生前退職金と死亡退職金の税制上の違いは何ですか
実技問題集を実際に解くと気づきますが、中途半端な知識だと答えられない問題が多いです。
作成したファイルをパソコンだけでなく、スマホやタブレットで閲覧できるように、マイクロソフトのワンドライブというクラウドを利用することで、通勤時間や昼休憩等のスキマ時間も有効活用できます。
他にもWordで打ち込む(アウトプット)によって、正しい知識を定着させるメリットもあります。
テキストをただ読むだけの場合と、実際に自分の言葉で入力する場合では、知識の定着度が大きく異なります。
テキストを読んで分かった気になるのが一番恐ろしいね。
分かった気になっている内容は、面接官から一歩踏み込まれると、実は分かっていなかったことが一気に露呈されるよ。
実技問題集を解くと実感するのが、実技試験は主範囲が「不動産」「相続・事業継承」と狭いが、その分内容は濃いこと!
初めて聞く語句も出てきます。
実際、学科試験では曖昧だったが、実技試験でしっかり理解できた内容も多かったです。
FP1級実技勉強事例②:制度のデメリットも正確に理解する
- 借地と底地の交換・・・使用できる面積が減る
- 地主が買い取り・・・資金が必要
- 借地人が買い取り・・土地を手放す
- 一緒に処分・・・双方の同意が必要
上記項目は「借地権の解消方法について教えてください」という問いに対して準備した答えです。
出題範囲は一緒でも、学科試験とは問われる内容が違います。
上記の問いでは、ただ解消方法を答えるだけでなく、デメリットも説明できるように意識しています。
試験本番では提案や知識だけでなく、この方法を選択したときのデメリットを問われることがあります。
デメリットが問われる理由は、FP職業倫理の一つ、アカウンタビリティ(説明義務)が関係しているからです。
FP1級実技勉強事例③:時事問題にも目を通しておく
実技試験では時事問題も蛇足で出題されることがあります。
そのため、直近の法改正があったものは、説明できるよう押さえておきましょう。
僕が受験した2016年では、下記内容を重点的に勉強しました。
- 空き家税制
- 家族信託
- ふるさと納税
- NISA
FP1級実技試験勉強の反省点5つ
FP1級の実技勉強および試験当日の反省点は以下5つです。
- 不動産分野を甘くみていた。
- そもそも勉強時間が少なかった。
- 「不動産」「相続・事業継承」しか、重点的に勉強しなかった。
- 知識が曖昧であった。
- 面接官との会話のキャッチボールができていなかった。
これから受験される方は、僕と同じ失敗をしないでください。
FP1級実技勉強の反省点①:不動産分野を甘くみていた
FP1級学科試験では、不動産分野は午前・午後共に満点でした。
そのため、学科合格者の中でも不動産分野の知識については、群を抜いている自信がありましたし、当日はアドリブで何とかなるだろうという過信もありました。
しかしながら、試験本番では特定事業用資産の特例の概要について、計算問題は完全に解けるにも関わらず、その内容(特定事業用資産の買換のメリット・デメリット)について説明ができないという事態に陥りました。
また、練習問題においても、学科試験では聞いたこともない語句もいくつかありました。
学科と実技では問われる内容が異なるので、例え学科の不動産、相続・事業継承が高得点でも過信は禁物です。
FP1級実技勉強の反省点②:そもそも勉強時間が少なかった
僕は1月学科受験であったため、3月に合格発表が出たにも関わらず、実際に勉強を始めたのが5月中旬。(試験は6月中旬)
当然ながら忘れている部分も多く、学科受験時の知識を取り戻すのにも時間を要しました。
理想としては、合格発表後すぐに勉強に取り掛かると、空白期間も短く勉強した内容がそのまま積み重なるため、慌てることがなくなります。
ちなみに勉強開始が遅れた理由は、遊びに夢中になっていたことと、仕事において営業経験が長く、人前で話すことに危機感を持っていなかったためでした。
FP1級学科試験が終えて、そのまま3月の銀行業務検定税務2級の勉強を続行したので、3・4月は反動で遊んでしまったわけです。
救いは、税務2級の勉強をしたことで、相続・贈与分野の知識は更なる補強ができたこと。
まだ受験されていない金融機関の方は、毎年3月に開催される税務2級受験を、FP試験前に受験することをおすすめします。
空白期間が長くなるほど、学科受験で苦労して覚えた正確な知識を忘れていくので、遅くとも学科合格発表後から実技試験の勉強に取り掛かりましょう。
FP1級実技勉強の反省点③:「不動産」「相続・事業継承」しか重点的に勉強しなかった
たまに他サイトで実技試験の出題範囲は、『不動産』『相続・事業継承』と謳っていますが誤りです。
問題集を解くと分かりますが、付属問題として、金融商品等の問題も併せて出題されます。
例えば相続の問題でも、問題文の最後に「Aは余剰資金でNISAについて検討しており、内容を教えてほしい」など、一文があったりします。
NISAの知識は、金融商品・タックスプラニングの分野となるため、『不動産』『相続・事業継承』の知識だけでは、回答できません。
当然ながら実技試験対策として、金融商品も軽く勉強しましたが、試験当日は想定外の国民年金基金や小規模共済について問われ撃沈しました。(社会保障分野はノーマークでした)
他分野の基礎レベルの内容もしっかり確認しておきましょう。
FP1級実技試験の反省点④:知識が曖昧であった
これは実際の試験のお話しです。
先ほどの小規模共済の問題において、「どのようなメリットがありますか」との問いに対し、
僕は思わず、「月7万円の所得控除のメリットがあります」と回答してしまいました。
これに対し、面接官が不信感を抱く顔をしました。
正解は7万円でなく「全額所得控除」です。
小規模共済の毎月掛金の最高額が7万円であったため、数字上は間違いないのですが、税法上は「全額所得控除」となっているため、正解とは言えないのです。
7万円と答えてしまうと、掛金5万円の人も7万円所得控除が受けれるという、誤解を招く可能性もあるよね。
もう一つは、不動産の事業用資産の買換特例の9号要件で、駐車場が買換資産に該当するかが曖昧で、自信を持った説明ができなかったことです。
これは9号要件における事業用資産の概念が曖昧だったことが根本にあります。
知識が曖昧だと、そこから面接官が突っ込んでくるため、正確な知識を定着しておきましょう。また相続人の概念など民法と税法で内容が異なる場合は、誤解を招かないように説明する必要があります。
FP1級実技試験の反省点⑤:面接官と会話のキャッチボールができていなかった
面接試験の基本は『問われた内容に対して回答』というシンプルなものです。
しかし、本番では問われた内容に対して、ついつい関係ない知識まで話してしまう場面がありました。
- 『メリットを教えてください』と問われているのに、デメリットまで話してしまった。
- Aという方法について問われているのに、比較対象とするBの方法の説明が主体になってしまった。
面接の基本は対話であり、こちらの意見を一方的に話すのは間違っています。
試験本番で分からない問題に対面すると、分かる内容で挽回しようとする気持ちが前面に出るため、話がそれないよう注意しましょう。
面接中は、会話が成立しているか必ず意識すること。
FP1級(実技試験)本番の感想とアドバイス
僕が受験した、名古屋試験場の感想です。
受験者数は僕を含め10名で、この中から、1人もしくは2人落ちるのかと思うと、合格率80%超でも気が休まりません。
服装は見た目を意識してスーツで出向きました。
面接試験である以上、面接官にとってマイナスの印象は極力避けるためです。
学科試験と違い、採点は面接官の主観も入ることを忘れてはいけません。
時間になると5人に分けられ、片方のグループがpart1、もう片方のグループがpart2に関する面接試験となります。
5人の中から順番に後ろのブースに呼び出され、そこで問題文を15分で読みます。
他の受験者は、その待ち時間の間、参考書を読んで待機です。
問題文を提示されたら、聞かれそうな内容のキーワードをメモ。
同時に分からない問題の逃げ回答も考えておきます。
制限時間15分と時間は足りないため、キーワードのみを書いて、後はキーワードから芋づる式で知識を引き出す戦法が有効です。
15分経つと別室に行き、面接試験となります。
面接では、面接官を顧客だと思い、落ち着いてはっきりと明るい声で対応しましょう。
そして、分らない内容の知ったかぶりは避けましょう。
曖昧な内容を、誤った説明をすると減点対象となるため、素直に分らないことを伝え、次に進んだ方が得策です。
面接時間は12分しかないので、時間内でいかに自分の知識を、面接官とのやり取りの中で引き出すかが重要です。
引き出す知識は、問われた内容についてだけ!関係ない知識は口に出さないようにね。
過去問を解くと分かる通り、二次試験の問題では、初めて聞く語句が出てくることもあります。
面接官は、受験者が分からない問題と対面したときの言動や態度も注視していますので、落ち着いて対応しましょう。
面接官とやり取り一部抜粋
遊休地に相続対策として、アパート建設を考えられている方が相談にきました。まず、あなたがすることは何ですか。
まずは、現地に行き、建設予定地の実地調査をします。
なぜ、実地調査をするのですか。地図や公図や謄本は手元にあるのですよ。
地図や公図と現地が、必ずしも一致しているとは限りません。謄本においても、例えば建物の滅失登記がされていなければ、登記上と現地が一致しません。またアパート建設の話であれば、現地に赴いて、近隣の入居状況等の確認も必要だと思われます。
具体的に、どうやって入居状況を、確認するのですか。
ポストやベランダの状況から、おおまかに判別します。また管理会社が関与していれば、管理会社に聞くことも、方法の一つだと思います。
なるほど…。でも、現地調査の他にも確認しておく重要なことがありますよね。
えっ、他に重要なことって…。
この方の相続人は、誰でしょうね。
…………‼
まずは相続人が誰なのか相談者に聞きます。相談者の回答が曖昧であれば、戸籍謄本等で相続人を確認することも、必要だと思います。
そうですね。相続人が誰なのかによって、アドバイスも変わってきますよね。
こんな感じで、こちらの答えに対し更に突っ込んできたりします。
しががって解答の丸暗記でなく、なぜそのような解答になるか、他人に言葉で話せるようにしておくべきです。
また、面接官が求める解答が出なくても、上記のように誘導してくれます。(上記の場合、相続対策でアパート建設の話が出た場合、優先すべき事項は、現地調査でなく相続人の状況確認が最適解でした)
FP1級(実技試験)まとめ
本記事では、FP1級実技試験の特徴や具体的な対策(勉強法)、そして受験者に伝えたい5つの反省点についてお伝えしました。
FP1級の勉強法と反省点をまとめたのがこちら。
- 他者に解説するイメージで問題に取り組む
- 正確な知識を確実に身に着ける
- 実技試験問題集で得た情報をWordやメモアプリに書き込む
- 書き込んだ内容はスキマ時間も駆使して定着させる
- 各種制度のデメリットもしっかり理解する
- 時事問題も目を通しておく
- 不動産分野を甘くみていた
- そもそも勉強時間が少なかった
- 『不動産』『相続・事業継承』しか重点的に勉強しなかった
- 知識が曖昧であった
- 面接官との会話のキャッチボールができていなかった
\使うべき教材はこれだけで問題なし/
面接試験当日に、分からない問題が出題され、不合格の心配をされる方もいると思いますが、安心してください。
2人の面接官は敵ではなく味方です。
間違った説明をすれば、不信感を顔に出してきます。
これは意地悪でなく、「間違いに気づいて!」というサインです。
話がそれていけば、面接官がそれとなく話を止めてきます。
面接官の言葉や態度を素直に受け取ることが大事です。
あなたが頑張るように、面接官も限られた時間の中で、あなたが勉強した知識を最大限引き出せるように頑張ってくれます。
実際、僕も回答で詰まったときに、質問内容を変えてくれる等、助け船を出してくれました。
分からない問題は素直に「○○については自信がないので、一度持ち帰って調べさせて頂きます。」と言って、逃げれば大丈夫です。
勉強したあなたが解けなければ、他の方も解けません。
だって、実技試験の教材は限られていますからね。
おそらく、二実技試験で落ちる方というのは、以下のような人です。
- 緊張して頭が真っ白になり何も話せなくなった人
- 助け船をひたすら無視して、我が道を進んでしまった人
実際、他の合格体験記を読んでも、大半は手ごたえはなかったけど合格していた感じです。
僕もその1人でした。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
\難関の学科試験勉強法はこちら/