【2020年12月更新】

財務4級は簿記論、財務諸表論、財務分析の問題が出題されますが、試験では過去問の類似問題が多く出題されるうえに、内容も初級クラスなので、正しい勉強法を実践すれば8割(合格点は6割)は確保できます。
ただし、毎回4割ほどは不合格となっており、簿記資格を有していても勉強しないと全く解けない問題もあるため、油断は禁物です。
この記事でわかること
財務4級の内容(出題項目や試験日など)
財務4級の難易度(合格率)
使うべき教材
具体的な勉強法(5つの手順)
まずは財務4級がどのような試験なのか、解説していきます。
銀行業務検定「財務4級」とは
銀行業務検定試験は主として銀行・保険・証券等金融機関の行職員を対象に、業務の遂行に必要な実務知識や技能・応用力についてその習得程度を測定することを目的とした、どなたにもご受験いただける公開の検定試験です。
現在、法務・財務・税務・外国為替・金融経済・証券・信託実務・法人融資渉外・個人融資渉外・窓口セールス・年金アドバイザー・営業店管理・融資管理・デリバティブ・投資信託・保険販売・金融リスクマネジメント・経営支援アドバイザー・預かり資産アドバイザー・金融商品取引・相続アドバイザー・事業承継アドバイザー・事業性評価等の23系統36種目の試験が実施されており、年間受験応募者数は約29万人を数えるに至っています。
財務は23系統の中でもメジャーであり、税務や法務と並ぶ3本柱として、多くの方が受験されます。
この3本柱は三択50問の4級、五択50問の3級、記述10問の2級と別れています。
財務4級の特徴として、簿記の知識があるか、もしくは実際に融資業務で決算書を触れていないと、概念や実感が湧きにくい点が挙げられます。
銀行業務検定財務4級の試験概要
出題形式 | 三答択一マークシート式 50問 (各2点) [財務諸表] 40問 [財務分析] 10問 |
---|---|
科目構成 | (1)財務諸表 40問 (2)財務分析 10問 (1)簿記の基礎・取引を中心に、原則として会社法・会社法施行規則および会社計算規則に もとづいて出題。 (2)基本的な安全性分析・収益性分析等から出題。 |
合格基準 | 満点の60%以上(試験委員会にて最終決定) |
試験時間 | 90分 |
科目構成は財務3級と違い、財務諸表の割合が多いです。(3級は3:2の割合)
そう聞くと、財務分析の方が難しく感じるかもしれませんが、実際は財務分析の方が問題数が少ない分、基本問題で埋め尽くされるので心配無用。
また、財務4級試験では三択であるため、解答も絞りやすく、意地の悪い問題も少ないのです。
(全く分からなくて、運任せでも正答率は33.3%となります。)
試験時間は90分、問題数は50問のため1問あたり1分半ですが、知っていれば10秒で正解を導きだせる問題も多いため、時間に追われる試験ではありません。
銀行業務検定財務4級の科目構成の内容
財務4級の財務諸表は、正確には簿記と財務諸表の2つに別れます。
毎回出題されるのが、帳簿の記録方法の基本となる”仕訳”。
これでは双方の財務報告を受けたC社は、営業利益における対比を正しく行えません。
そのために、財務諸表では各勘定をどの部分で計上するかルールを定めており、このルールが試験として問われます。
財務指標は実務でも重要であり、例えばA社は売上高100万円、B社は売上高50万円だけでは正しい比較できません。
そのため、売上に対する各種○○利益率やら、総資本に対する売上高や利益率を用いて比較を行います。
銀行業務検定財務4級の試験日と応募期間
2020年のスケジュールは以下の通り
試験日 | 応募期間 |
10月25日(日)10:00~11:30(午前) | 2020年8月11日(火)09:00 〜
2020年9月2日(水)23:30 |
銀行業務検定は原則年1回ですが、需要の高い試験は年2回あります。
試験開催日は年3回で、3月上旬・6月上旬・10月下旬の日曜日に開催され、午前か午後かは試験によって変わります。
財務4級は年1回の試験で例年は6月ですが、2020年は新型コロナウイルスの影響により10月に変更となっています。
銀行業務検定財務4級の合格率と難易度
試験実施月 | 合格率 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 平均年齢 |
2019年6月 | 57.46% | 2,657 | 2,468 | 1,418 | 3.2 |
2018年6月 | 68.84% | 2,883 | 2,680 | 1,845 | 3.2 |
2017年6月 | 68.83% | 3,138 | 2,945 | 2,027 | 3.0 |
2016年6月 | 67.38% | 3,360 | 3,139 | 2,115 | 3.6 |
2015年6月 | 65.78% | 3,109 | 2,922 | 1,992 | 3.0 |
合格率は概ね6割以上ですが、2019年は6割を下回ったので油断は禁物。
平均勤続年齢は3年程であることから、若手向けの試験です。
また、都銀や一部地銀では3級受験を推奨されていることから、信金受験者が多い試験でもあります。
注意点は合格率が高い試験うえに、人事部や上司も合格して当たり前という認識があることです。
したがって、不合格になると”自己啓発に消極的”というマイナスのイメージを持たれるので、受験するからには必ず合格しましょう。
とは言え、ここでお伝えする勉強法を参照すれば、全く警戒する試験ではありませんので、安心してください。
銀行業務検定財務4級のおすすめ教材
過去5回の過去問です。
試験は過去問中心なので、この教材は必ず購入してください。
この教材なしだとハードモードの試験になります。
- 問題集だけでなくテキストも使いたい
- 財務3級も近いうちに受験する
このような方には財務3級の直前整理テキストが大活躍します。
要点は分かりやすくまとまっており、財務3級受験においても公式テキストより推奨しているテキストです。
ただし、財務4級の合格ラインを狙うだけであれば、買う必要はありません。
ポイント
試験は過去問を中心に出題されるので、過去問題集は必須。
テキストは必須品ではない。
銀行業務検定財務4級の勉強方法
ここからいよいよ本題です。
まずは問題集を始める前に、冒頭部分の出題項目一覧を確認してみてください。
細かい項目ごとに、過去5回のうち何回出題されたか、記載されております。
そこで1つ気づくことがあります。
連続して出題されている項目が意外と多いことに!!
5回連続して出題されている項目は、主催者側が重要視している問題なので、捨てることは絶対に避けましょう。

銀行業務検定財務4級の勉強手順
手順1財務分析10問は無視して、直近3回の財務諸表40問から開始。
手順2解答を見ずに再度、財務諸表のみ解き、間違えた問題、曖昧だった問題を、冒頭の出題項目一覧にチェック。
手順3間違えた問題と、曖昧な問題だけを解く。
手順4財務分析も全て解き、財務諸表同様にチェックして、間違えた問題と曖昧な問題だけを解く。
手順5過去問5回分を時間を意識して、直近から順番に解く。
財務分析10問は無視して、直近3回の財務諸表40問から開始。
財務分析の問題については、財務諸表の土台がないと効率が悪いので後回し。
まずは財務諸表40問を、解説文を読みながら実際に解いていきましょう。
優先的に覚える勘定科目は以下の通り。
- 受取手形
- 売掛金
- 支払手形
- 買掛金
- 資本金
- 繰越利益剰余金
- 売上原価
- 減価償却費
財務4級では各種取引の基本的な仕訳を問われたり、仕訳を理解していることが前提となる問題が多いです。
そのため、まずは勘定科目の意味をしっかり理解すると、理解度が早まります。
貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)などの財務諸表に関する問題は、基本事項が大半で、一般常識とかけ離れていないので覚えやすいです

手順②の狙いは理解できていない項目の抽出です。
- 間違えた問題
- 曖昧だった問題
この2つの問題については、冒頭の出題項目一覧表にチェックして可視化しましょう。
ここで抽出された問題は、本試験で失点に繋がる可能性が高いので、しっかり見直すこと。
ただし、正答率35%以下の問題や、出題頻度が過去5年で1回のみの問題で、理解に苦戦しそうであれば飛ばしてもかまいません。
それらの問題は、満点を取らせないための奇問・難問であるため、まともに向き合ってもコスパは悪いです。
間違えた問題と、曖昧な問題だけを解く。
手順②で解けた問題は、まだ記憶が新しいので、少し間を置いても大丈夫。
試験合格の課題は、手順②で抽出された問題を、如何に理解して解けるようにするかです。
通勤中や昼休み中などのスキマ時間も活用していき、一問一問潰してきましょう。
また、自信のない問題の中で、まだ触れていない残り2回の過去問にも出題されていれば、併せて解いていくこと。

財務4級レベルの問題であれば、毎日こなせば解けるようになりますし、毎日向き合えば、記憶にも残りやすいです。
各勘定の意味も、この時点までには完全に覚えておくこと。勘定を完全に覚えておけば、それだけで得点を稼げます。
財務分析も全て解き、財務諸表同様にチェックして、間違えた問題と曖昧な問題だけを解く。
この時点までこれば、一定の財務諸表の知識は身についているので、ここからは財務分析も組み込みます。
財務分析は10問と少ないため、過去問全てを解いていきましょう。
勉強手順は財務諸表の手順①~③と同様です。
問題数は少ないうえに出題頻度も高い問題が多いため、財務諸表ほどの負担はありません。
過去問5回分を時間を意識して、直近から順番に解きましょう。
この段階までたどり着けば、過去問1回分を解くぐらいであれば、苦痛なく取り組めるはずです。
手順⑤の狙いは、理解できていなかった問題、判断に迷った問題、ミスした問題の確認です。
ここで間違えた問題(迷い、ミス含む)は必ず原因を追究してください。
特にミス問題は甘くみないこと!
試験を効率的に合格するためには、難しい問題を理解するより、ミス問題を無くしていくことです。
手順⑤で間違えたり迷う問題は、試験本番でも繰り返す可能性があるので、問題集の余白部分に箇条書で良いので記載して、試験当日に会場に着いたら、必ず目を通すようにしてください。
試験に落ちる人ほど、手順⑤の間違いに対する認識が甘いです!
銀行業務検定財務4級のよくある質問
ここでは、財務4級のよくある質問をまとめました。
財務4級に限らず、銀行業務検定の受験資格はなし。
したがって、新人や学生が財務4級や3級を飛び越えて、財務2級に受験することも可能。
財務3級、財務2級の他に簿記3級・2級があります。
ただし財務3級は五択に増えるうえに合格率も3割程と厳しめ。
また簿記3級も財務4級よりは難易度が高いので注意。
基礎的な財務諸表や財務分析は身に着くため、融資稟議書を作成する担当者や法人営業の担当者は役立つ。
逆に預金係では、ほとんど実務に関わりがないので、特段の理由がなければ法務を受験したほうが良い。
財務4級は過去問頻度が高いので、過去問を3周すれば合格ラインに届きます。
また解説文も細かく記載されていることから、問題集1冊でインプットとアウトプットが可能。
財務4級では問われる内容が限定されています。
したがって、会計学や簿記の専門書を読むより、実際に問題を解いて、財務4級が求める内容を肌で知る方が圧倒的に効率が良い。
銀行業務検定財務4級の勉強法まとめ
この記事では、銀行業務検定財務4級の難易度、おすすめ教材、具体的な勉強法(対策)についてお伝えしました。
財務4級についてまとめたのがこちら
ポイント
合格率は6割程度
過去問題集は必須
まずは財務分析より財務諸表を優先して勉強
過去問の反復が合格への近道
簿記知識があると勉強は格段に捗る
繰り返しとなりますが、財務4級は過去の類似問題が多いことから、過去問題集を何度も解くことが、一発合格の一番の近道です。
銀行業務検定は実務で活かす意味合いよりも、社内での評価に利用されやすい意味合いの方が強い試験であることから、とにかく「合格」することが重要な試験です。
特に4級試験は合格して当たり前。不合格は人事評価に悪影響する可能性があるため、受験するからには一発合格する必要があります。
せっかく貴重なオフの時間を用いるのであれば、ここでお伝えした効率的な勉強法を参考にして、確実に「一発合格」を狙いましょう。
当サイトでは、多忙だけど頑張るあなたを、情報発信という形で応援します。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
\これは必須/
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