
これから応用情報技術者試験を受験する人なら、真っ先に知りたい情報ですよね。
本記事では応用情報技術者試験の合格率や難易度、また試験の内容・特徴についてお伝えします。
高校は普通科・大学は経済学部、本職は銀行員
IT非従事者ながら、独学で応用情報技術者試験に合格
ITパスポート、基本情報技術者は未取得
応用情報技術者試験の難易度
応用情報技術者は、高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能を試される試験であることから、簡単な試験とは言えません。
合格点は午前試験・午後試験共に6割で、合格率は2割程度で推移しています。
また一部合格制度はないので、午前試験が満点でも、午後試験が6割未満なら、次回は午前と午後の両方を受験することになります。
応用情報技術者試験の合格率推移
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年度 | 応募者 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
平成28年度 春期 | 44,102 人 | 28,229 人 | 5,801 人 | 20.5 % |
平成28年度 秋期 | 52,845 人 | 35,064 人 | 7,511 人 | 21.4 % |
平成29年度 春期 | 49,333 人 | 31,932 人 | 6,443 人 | 20.2 % |
平成29年度 秋期 | 50,969 人 | 33,104 人 | 7,216 人 | 21.8 % |
平成30年度 春期 | 49,223 人 | 30,435 人 | 6,917 人 | 22.7 % |
平成30年度 秋期 | 52,219 人 | 33,932 人 | 7,948人 | 23.4% |
平成31年度 春期 | 48,804 人 | 30,710 人 | 6,605人 | 21.5% |
令和1年度 秋期 | 50,440 人 | 32,845 人 | 7,555人 | 23.0% |
令和2年度 秋期 | 42,393 人 | 29,024 人 | 6,807人 | 23.5% |
令和3年度 春期 | 41,415 人 | 26,185 人 | 6,287人 | 24.0% |
令和3年度 秋期 | 48,270人 | 33,513人 | 7,719人 | 23.0% |
※1年春はコロナの影響で中止。
直近10回の合格率で一番低いときで20.2%、一番高いときで24.0%。
合格率は20%を上回る程度であることが分かります。
そして、もう1つ分かることが、受験率は65%ほどであること。
単純に50,000人が受験に申込みしても、17,500人は何らかの事情で受験していないことになります。

下位資格との合格率比較表
試験名 | 合格率 |
---|---|
ITパスポート | 58.8% |
情報セキュリティマネジメント | 52.4% |
基本情報技術者 | 41.6% |
応用情報技術者 | 23.5% |
※令和3年度の実績
合格率については、実は基本情報技術者試験と大きな差はありません。
ただし、内容は当然ながら難しくなっており、受験者のレベルも上がっていることから、楽観視するのは禁物です。
試験時間・出題形式・出題数(解答数)
応用情報技術者
午前 | 午後 | |
---|---|---|
試験時間 | 9:30~12:00(150分) | 13:00~15:30(150分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 記述式 |
出題数 解答数 |
出題数:80問 解答数:80問 |
出題数:11問 解答数:5問 |
試験時間は基本情報技術者試験と同様に、午前・午後共に150分。合格点は6割。
ITを利用する側の試験であるITパスポートや、情報セキュリティマネジメントと比較すると、長丁場の試験であることが分かります。
そして、難易度を上げる要因なのが、応用情報技術者試験では記述式が採用されること。
そのため、計算問題はもちろん、文章を要約して書くスキルも求められます。
せっかくなので下位試験の内容も紹介しておきます。
ITパスポート
試験時間 | 120分 |
---|---|
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) |
出題数 | 100問(小問形式) |
情報セキュリティマネジメント
午前 | 午後 | |
---|---|---|
試験時間 | 90分 | 90分 |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 多肢選択式 |
出題数 解答数 |
出題数:50問 解答数:50問 |
出題数:3問 解答数:3問 |
基本情報技術者
午前 | 午後 | |
---|---|---|
試験時間 | 150分 | 150分 |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 多肢選択式 |
出題数 解答数 |
出題数:80問 解答数:80問 |
出題数:11問 解答数:5問 |
下位試験との平均年齢比較表
試験名 | 合格者平均年齢 |
---|---|
情報セキュリティマネジメント | 37.2 |
基本情報技術者 | 25.2 |
応用情報技術者 | 28.2 |
※令和1年実績、ITパスポートはデータなし
基本情報技術者と応用情報技術者の合格者平均年齢は3歳の差があることが分かります。
また、情報セキュリティマネジメントの合格者平均年齢が高い傾向にあるのは、非IT系の管理職が試験対象者となっているからだと思われます。
応用情報技術者試験の特徴
試験概要
応用情報技術試験の受験料
5,700円(他の情報処理試験も一律同料金)
応用情報技術試験の受験資格
情報処理試験では受験資格は存在しません。
そのため中学生がいきなり応用情報処理試験に挑むことも、さらに高度のレベル4の情報処理試験に挑むことも可能。
応用情報技術試験の主催時期
4月と10月の第3日曜日
申込時期は4月受験の場合、1月中旬から2月初旬。10月受験の場合、7月中旬から8月初旬となる。
合格発表は試験終了後から2ヵ月後。
応用情報技術試験の応募者職種割合
応用情報技術試験は、ITパスポートや情報セキュリティマネジメントと違い、利用する側を対象とする試験ではないため、実務経験者の応募割合が多いです。
また、学生(専門学生が過半数を占めてる)の受験生も多いです。
午前試験の特徴
午前試験は80問、四肢択一。
時間は150分のため1問あたり2分弱ですが、過去問演習をしっかり行っておけば、時間には余裕が出てきます。
続いて試験の中身を見ていきましょう。
出題範囲と分野別の出題数は以下の通り
- テクノロジ系(基礎理論~開発技術)50問
- マネジメント系(プロジェクト・サービスマネジメント)10問
- ストラテジ系(システム戦略~企業と法務)20問
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大分類 | 中分類 | 2年秋の出題数 |
---|---|---|
テクノロジ系 | 基礎理論 | 7 |
コンピュータシステム | 17 | |
技術要素(セキュリティ除外) | 11 | |
技術要素(セキュリティのみ) | 10 | |
開発技術 | 5 | |
マネジメント系 | プロジェクトマネジメント | 4 |
サービスマネジメント | 6 | |
ストラテジ系 | システム戦略 | 6 |
経営戦略 | 7 | |
企業と法務 | 7 |
午後試験でも言えることですが、重視すべき点はセキュリティ項目。
毎回80問中、10問はセキュリティのため、セキュリティだけは絶対に苦手項目にしてはいけません。
また、午前試験は範囲がかなり広いので、勉強が不安に感じるかもしれませんが心配無用。
なぜなら、午前試験は直近10回分の過去問をやり込めば、僕のような非IT職の人間でも、合格レベルには十分に達するからです。
>>応用情報技術者試験の独学勉強法【文系社会人・情報科以外の学生必見】
午後試験の特徴
午後試験は全11問。うち1問目のセキュリティは必須で、残り4問は選択自由。
時間は午前同様に150分で5問のため、1問あたり30分。
ただし、午前試験と違い、午後試験は時間に追われる試験のため、午後試験の出題形式に慣れておかないと、時間切れになります。
続いて試験の内容を見ていきましょう。
出題項目全11問と受験が向いている人は以下の通り。
大分類 | 午後出題項目 |
---|---|
テクノロジ系 | 情報セキュリティ(必須) |
プログラミング
(システム開発者、理系学生) |
|
システムアーキテクチャ
(ネットワーク構築者、理系学生) |
|
ネットワーク
(ネットワーク構築者、理系学生) |
|
データベース
(システム開発者、ネットワーク構築者、理系学生) |
|
組込みシステム開発
(システム開発者、理系学生) |
|
情報システム開発
(システム開発者、文系学生) |
|
マネジメント系 | プロジェクトマネジメント
(システム開発者、ITコンサル、ネットワーク構築者、文系学生) |
サービスマネジメント
(ITコンサル、ネットワーク構築者、文系学生) |
|
システム監査
(ITコンサル、文系学生) |
|
ストラテジ系 | 経営戦略
(ITコンサル) |
セキュリティは午後試験で絶対に避けられない項目であり、午前試験でも1割以上がセキュリティ項目のため、一発合格を狙うならセキュリティを制す必要があります。
また、セキュリティ以外は自由選択であり、マネジメント系が3問、ストラテジ系が1問あるため、午後試験ではテクノロジ系を大幅に回避することが可能です。
下位資格の基本情報技術者試験では、アルゴリズムやソフトウェア開発といった、ゴリゴリのテクノロジ系が必須であることを考慮すると、非IT職の場合、応用情報技術試験の方が攻略しやすい特徴があります。
ただし、攻略しやすいだけであって、決してテクノロジ系以外の問題が簡単という訳ではないので注意。
また、項目によって難易度はバラつきが大きいので、実際に受験できる項目は5問ですが、保険としてプラス1~2問を準備しておく必要があります。
午前は広く浅く、午後は狭く深い試験です。
点数調整は午後試験で行われている!?
応用情報処理試験の合格率は20%ほどで安定推移していますが、裏で安定推移になるように調整をしている可能性が高いです。
可能性が高いと感じた理由は以下3つ。
- 最近の情報セキュリティマネジメント試験において、合格率調整のため、午後試験の合格点を変更(60点→46点)した経緯がある
- 午後試験の配点は非公表
- 午後試験は受験項目が選択制
①は有名どころの資格だと宅建士でも、よく行われる行為ですね。
選択問題だけの試験の場合、自己採点が容易なので、合格点を調整するしかありません。
②は一度でも公表してしまうと、次回から主催者側の都合のよい配点調整が行いにくくなるため、非公表にしているのでしょう。
実際に応用情報技術者試験では、
- 択一問題
- 単語記入問題(例:○○に該当する言葉を記入せよ)
- 文章記入問題(例:なぜ、そう言えるのか15文字以内に答えよ)
このように回答の種類が多いので、配点調整は行いやすいです。
③の受験項目が選択制も、調整する側には有利です。
例えば、プログラミングやデータベースの項目は、実務経験者であれば、満点は狙いやすいです。
そうなると、他の項目で負の点数調整が行われる可能性が出てきます。
帳尻合わせのため、自分が選択した項目で、辛口の配点調整(例:択一問題は1点、難解な文章問題は5点以上)を行われることだよ。
対策としては、午後試験は負の点数調整が行われても生き残れるように、余裕を持って勉強しておくこと。
特に非IT系の人は、余裕を持って勉強すること!
理由は簡単で、IT実務経験が豊富な受験生ならば、テクノロジ系の専門・関連項目は満点を取ってきます。
そして、調整を図るためにマネジメント系・ストラテジ系で、辛口配点になりかねないからです。
応用情報技術者試験は独学で合格可能な試験
著者は文系大学出身で非IT従事者ですが、独学で合格できました。
独学で合格を目指したい非IT系の人は、こちらの記事を参考にしてください。

ただし振り返ると、合格までにかなり遠回りをした実感はあります。
実際に独学で勉強してみて感じたデメリットは以下4点。
- 初期インプット時の理解が大変(特にテクノロジ系)
- インプット教材がテキスト主体のため、動画教材と比較すると時間効率は悪い
- 午後試験で大事な応用力を養いにくい
- 試験範囲が広いため、先が見えず途中で挫折しやすい
このデメリットをカバーできるのが通信講座。
特にインプットのフェーズでは、専門講師による動画視聴により、テキスト教材と比較して、勉強時間の効率が図れるため、スムーズにアウトプットに移行できます。
また、通信講座では独学で勉強が難しい鬼門の午後試験対策も、項目ごとにしっかり対策を行ってくれます。
通信講座のデメリットは費用になりますが、実は5万円以内で充実した講座が利用できます。
そして、通信講座を利用することで勉強時間の短縮は図れるので、忙しい社会人の場合、時間をお金で買う意味で、通信講座を利用するのはアリです。
初学者に向いている通信講座は、こちらの記事で紹介しているので、限られた時間で効率良く勉強したい人は、参考にしてください。

応用情報技術者試験の難易度・特徴まとめ
本記事では応用情報技術者試験の難易度や特徴についてお伝えしました。
応用情報技術者試験の特徴
合格率は20~23%
受験率は約65%
平均年齢は28歳
合格点は午前・午後共に6割
試験は4月と10月の年2回主催
午前試験は80問(四肢択一)
午後試験は11問から1問必須、4問選択制(記述式)
セキュリティを制すものが合格を制す試験
応用情報技術者試験は受験資格がないので、誰でも受験可能です。
しかしながら、合格率は20~23%と高いとは言えず、試験範囲も広いため、勉強が大変な試験です。
ただし、情報化社会の現在において、ITを利用する側の人間も、一定の情報リテラシーは必要不可欠な時代なので、興味・関心を持ったなら、是非挑戦してみてください。
技術者側の勉強をしたことで、新聞やネットに出てくる情報関連のニュース内容が、これまでとは別次元で分かるようになったので、合否に関わらず勉強して損はしない試験だよ。
幸いにも、リーズナブルな価格で充実した通信講座も利用できるので、各々の実務経験や事前知識を考慮し、より効率的に合格を目指していきましょう。
当サイトでは、多忙だけど頑張るあなたを、情報発信という形で応援します。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。