【2024年6月更新】
数ある銀行業務検定のなかで、最も実務業務と関わりがある銀行業務検定(法務2級)を受験しようと思ったけど、ネット上で難易度や試験対策の情報を検索しても、有益な情報が非常に少ない!
僕自身、法律科目は苦手だったけど、本記事で紹介する勉強手順で一発合格できたので、難易度や合格率と併せて、中期間(4週間~1カ月半)で合格できる勉強法を紹介するよ。
銀行業務検定の中でも財務2級・税務2級と並び、社内評価に利用されやすい法務2級。
法務2級は年2回(6月、10月)あり、毎回2,000人前後が受験している人気科目ですが、勉強法を誤ると成果がなかなか出ず合格できません。
- 法務2級の合格率・難易度
- 使うべき教材
- 高確率で合格できる勉強法(6つの手順)
- 合格率を上げる3つのテクニック
銀行業務検定法務2級の直近7回の合格率推移
試験実施回 | 合格率 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 |
---|---|---|---|---|
2023年10月 | 33.62% | 2,467人 | 2,002人 | 673人 |
2023年6月 | 22.23% | 2,138人 | 1,745人 | 388人 |
2022年10月 | 25.33% | 2,695人 | 2,215人 | 561人 |
2022年6月 | 39.21% | 2,834人 | 2,372人 | 930人 |
2021年10月 | 27.31% | 3,811人 | 3,127人 | 854人 |
2021年6月 | 30.57% | 3,343人 | 2,771人 | 847人 |
2020年10月 | 35.26% | 3,693人 | 3,100人 | 1,093人 |
直近7回の平均合格率は30.50%ですが、合格率の差は一番良いときと悪いときで16.98%と、ややムラがあります。
注意点として、法務2級の合格点は50点にも関わらず、7割の受験生が合格点に満たないこと。
法務2級は記述形式ですが、とりあえず書けば一定の点数が得られるような生易しい試験ではありません。
僕自身の体験談ですが、10問中1問を完全に捨て、択一問題は捨てた1問以外は全問正解で、記述も自分の中では上出来だと思いましたが、蓋を開けたら70点ほどでした。
それでも成績順位は受験者数の中で上位2%に入っていたことから、法務2級では合格者のうち20%ほどは50点~60点台であることが想定されます。
銀行業務検定法務2級の難易度
出題形式 | 三答択一付記述式 10題 (1題につき択一部分2点・記述部分8点の配点割合) |
---|---|
科目構成 | 預金 手形・小切手(手形交換を含む) 融資(担保・保証、管理・回収を含む) その他 |
合格基準 | 満点の50%以上(試験委員会にて最終決定) |
試験時間 | 180分 |
- 預金3割
- 小切手・手形3割
- 融資4割
法務2級の難易度ですが、記述式になったことで法務3級より難易度は格段に上がっています。
そのため半端な勉強で挑むと、時間内に解答文を組み立てできず不合格になります。
また、以下2つの要素があるのも法務2級の特徴です。
- 小六法が持ち込み可能
- 合格点は6割でなく5割
法務2級の試験内容
役席者・専担者等を対象に、事故対策を含む法務全般に適切に対処するための応用実践的な知識について、その習得程度を測定します。
経済法令研究会より引用
法務2級は役席者を対象とした試験であるため、試験の難易度は高いです。
試験内容ですが、法務2級は小六法が持ち込み可能であることから、設問に対する根拠(法律、判例、約款)を、小六法の中から如何に早く見つけられるかがポイントとなります。
採点は非常にシビアで、要点を抑えても文章構成や肉付けが不完全だと点数が伸びません。
『持ち込み可能=合格しやすい』といった甘い願望は捨てましょう。
合格点が50点なのは、採点が非常にシビアで、60点合格にすると合格者が激減するからだよ。
法務2級の平均年齢
試験実施回 | 受験者平均年齢 |
---|---|
2023年10月 | 36.6歳 |
2023年6月 | 35.7歳 |
2022年10月 | 35.3歳 |
直近3回の平均受験者年齢は35.8歳。
法務2級は役席者等の昇任試験に利用されており、受験者年齢も法務3級より6歳ほど上がりますが、実務経験が乏しくても、本記事で紹介する勉強法を参考にしてもらえれば、20代でも合格はできます。
実務経験が少なくても本当に大丈夫?という疑問もあると思いますが、テキストや過去問で基本的な考え方を身に着ければ合格ラインには達します。
法務2級過去問題(2023年10月)の点数が低かった項目
問題 | 平均点 |
---|---|
手形の善意取得と除権決定 | 3.02 点 |
成年被後見人である顧客との融資取引の | 3.44 点 |
取引先の民事再生手続の開始と銀行の対応 | 3.49 点 |
連帯保証人に対する請求と抗弁 | 3.30 点 |
取引先の合併と債権の管理 | 2.81 点 |
法務2級で厄介な点は、時間が足りない試験にも関わらず、各設問の難易度にムラがあること。
各設問の時間配分を誤ると、本来ならば合格できる実力があっても不合格になります。
法務2級では、設問を見て瞬時に難易度レベルを判断するスキルも求められます。
法務2級の試験時間
試験時間は180分と長く感じますが、見直し時間を考慮すると、1問当たり15分と余裕は全くないです。
同レベルといわれる財務2級・税務2級と比較しても、法務2級のほうが時間が足りない試験です。
僕自身の体験談ですが、試験本番は10の設問のうち、1問を完全放棄して残り9問に全力を注ぎましたが、それでも時間ギリギリでした。
法務2級の試験日と受験料
2024年度の試験日は、2024年6月2日(日)と2024年10月27日(日)の年2回。
2020年から銀行業務検定においてもCBT試験が導入されましたが、記述式である法務2級は対象外です。
受験料は8,250円(税込)。
銀行内部でしか評価されない試験にも関わらず、受験料は宅建士より高い価格なので、受験するからには一発合格を狙いましょう。
銀行業務検定法務2級のおすすめ教材
過去10回程度の問題が収録されています。
過去問題集なしで合格は無理ゲーですので、必ず購入しましょう。
法務2級は上記の小六法持ち込みを前提としています。
小六法も必ず購入してください。
六法の本は他にもたくさんありますが、金融取引小六法以外は法務2級受験には適してません。
また、試験は旬な法律問題を出題してくる傾向があるため、中古の小六法だと1問丸ごと取りこぼす可能性があります。
僕自身、あまりお金を掛けたくなかったため、5年前の中古小六法を購入しましたが、当時の小六法には記載されていなかったマネロン関連が1問出題されたため、早急に捨てて他の問題に専念するハメになりました。
小六法は高いとはいえ受験料の半分程度なので、新品を買っておきましょう。持ち込み教材をケチって落ちる方が損です。
テキストは各項目について基本問題と応用問題がセットになっているので、インプットはもちろんアウトプットにも役立ちます。
当日の試験で過去問にはない項目が出題されても、部分点を稼げるようにテキストで基礎力を身に着けることが大事です。
目標配点については以下の通り。
3択設問9割正解→2点×9問=18点
記述問題は各問題、8点中4~5点→4~5点×10問=40~50点
択一問題は正解すれば確実に2点を確保できるため、全問正解を目指しましょう。
財務2級の教材は大型本屋でしか扱っておらず、試験直前になると品薄になってしまうため、早めに購入しておくことをおすすめします。
銀行業務検定法務2級の勉強方法を6つの手順で解説
ここからは、法務2級に合格するための具体的な勉強手順を、6つのフェーズに分けて説明していきます。
手順①:法務2級のテキストの基礎・応用問題を解く
手順①の段階では記述は行わなくて大丈夫です。(読むだけで十分)
なぜ、そのような解答になるのか、理解していきましょう。
解説文で記載されている法律や判例は、必ず小六法で確認して付箋を貼っておきましょう。
付箋に差押・相殺・払戻等の単語を書いておくと、後々便利です。
全手順に共通して言えることだけど、問題集等の余白に各項目の関係する内容が、小六法の何ページ目に記載されているかメモしておくと、後で振り返って勉強するときに効率的だよ。
応用問題に関しては、理解が難しいところは、この時点では飛ばしてよいです。
手順①では、各問に対し必要な知識と、どのような判例・法律・約款等を用いて説明しているか、実感することが重要です。
本番の記述方式は、テキストの解答形式でなく、過去問題集の解答形式を真似ればよいので、ここでは読み流す感じで解いていって大丈夫です。
手順②:再度テキストの問題集を解く
手順②では詳細な説明はできなくて良いです。
とりあえず、正しい答えを感覚で良いので導くことが狙いです。
手順②をしっかりやっておけば、当日の試験の択一問題は、十分太刀打ちできます。
手順③:問題集を時間は気にせず直近から解く
手順③から本格的なアウトプットの練習です。
時間が惜しいので、記述はしなくて良いですが、ここからは第三者に説明するイメージで解きましょう。
また、テキストを用いて周辺知識も身に着けていきましょう。
一旦、テキストの問題を解いているので、周辺知識を身に着けることに対して、そこまで負荷はないはずです。
本番では同じ問題は出題されないので、1つの問題に対し周辺知識を身に着け、類似問題を確実に解くことが合格への近道だよ。
手順③の目的は2つ。
- 出題傾向を掴むこと。
- 解答文から記述問題の論理展開と、その肉付けの文章を学ぶこと。
1周目では制限時間は気にしなくてよいですが、自分が考えた文章と解答文との相違部分は、しっかり確認しておきましょう。
的は得ていても、解答文とかけ離れた記述では減点になる可能性があるからです。
手順④:問題集の間違えた箇所や曖昧な部分のみ再度見直す
試験合格の課題は、手順③で解けなかった問題を如何に理解して解けるようにするかです。
平均点が5点以上の問題は、出題率が高いサービス問題なので、絶対解けるようにしましょう。
2点未満の問題は奇問なので、大まかに理解する程度で問題なし。
手順④においても記述はせず、頭の中で文章を練る勉強法で大丈夫です。
手順④で間違えた問題は、付箋を貼りテキストや小六法を用いて、しっかり理解しましょう。
手順⑤:スピード重視でテキスト問題集→過去問題集の順番で解く
問題を解くにあたり、本番の練習も兼ねて実際に記述して解いてもよいですが、頭の中で解いても大丈夫です。
僕自身、勉強時間が短かったため、記述の練習はほとんどしませんでした。
その代わり、手順③同様に頭の中でしっかり文章を練って、第三者に論理的に説明するイメージで解いてください。
論理展開が間違っていなけば、一定の点数はもらえますが、満点を取るためには、肉付けの文章も求められるのが、法務2級の特徴です。
そのため手順⑤では、論理展開と肉付けの文章が、解答文と一致しているか確認しましょう。
法務2級では、根拠となる判例・法律・約款が文章に入っていないと、減点される可能性が非常に高いので注意。
時間がない場合でも最低限ここまでやっておけば、悲惨な結果にはならないよ。
手順⑥:過去問題集を再度解く
手順⑥が終わると、1回目で解けた問題は2周、解けなかった問題は3週以上触れたことになります。
手順⑥においては、本番同様に記述しながら解いていきましょう。
また、自信のない問題はテキストを用いて知識を補強していきましょう。
銀行業務検定法務2級の合格率を上げる3つのポイント
ここからは、合格率を少しでも上げるための3つのテクニックを紹介します。
- 小六法の民法は何度も目を通しておく
- 小六法の付箋を貼ったページは何度も目を通す
- 奇抜な問題は相手にしない
法務2級ポイント①:小六法の民法は何度も目を通しておく
預金・融資問わず、民法を判定根拠として、文章を構成する機会が多いです。
そのため、民法については、1条から順に目を通しておくと、当日の試験で該当部分を探しやすくなります。
「遺言や相続は900条以降、根抵当権が380条~390条当たりだったな」程度で大丈夫だよ。
法務2級ポイント②:小六法の付箋を貼ったページは何度も目を通す
試験本番で焦るのが、頭の中で根拠となる法律や判例等が思い浮かんだのに、その部分を探すのに時間が掛かること。
頭に思い浮かぶということは、小六法で一度は目にした可能性が高いため、小六法のどの部分に、どのような内容が記載されていたか覚えておくと、当日の探す時間の短縮が図れます。
法務2級ポイント③:奇抜な問題は相手にしない
法務2級では50点合格であるため、10問中1問を捨てても、9問で平均6割確保できれば、合格できます。
択一問題で戸惑う問題であれば、記述の方も更に戸惑い、長時間を要する可能性が高いです。
あえて奇抜な問題は捨てて、他の問題に注力するのも戦略の1つです。
時間を割けば確実に得点が狙える問題を見極めるのは、法務2級だけでなく財務や税務にも言えることだね。
問9や問10の難易度が易しいにも関わらず、他の難問に時間を費やしてしまい、時間がなくて低結果になるのは、非常にもったいないので、問1から順番に解くのは止めよう。
銀行業務検定法務2級の勉強法まとめ
本記事では、銀行業務検定法務2級の合格率、難易度、おすすめ教材、具体的な勉強法(対策)についてお伝えしました。
法務2級についてまとめたのがこちら。
- 平均合格率は30%ほどだが、ムラがある
- 試験は時間との激しい戦い
- 過去問題集と持ち込み可の小六法は必須
- 公式テキストも推奨
- 問題集や小六法は何度も目を通す
- 採点はシビアなため、論理展開は当然ながら肉付けも意識する
銀行業務検定においては、「問題集3周」することが合格への最短ルートであると言われています。
しかし、法務2級においては問題集3周に加えて、以下2つのことも意識しましょう。
- テキストで知識の補強をしておくこと
- 小六法にもしっかり目を通しておくこと
記述の採点基準は非常にシビアであり、問題集の模範解答のような的を得た長文が求められるため、半端な勉強では太刀打ちできません。
銀行業務検定2級は実務で活かす意味合いよりも、社内での評価に利用されやすい意味合いの方が特に強い試験であることから、とにかく「合格」することが重要な試験です。(金融機関の人事の昇進昇格の条件の1つに、銀行業務検定の取得が取りこまれています。特に2級は利用されやすい)
せっかく貴重なお金と時間を費やすなら、ここでお伝えした効果的な勉強法を参考にして「一発合格」を目指してください。
当サイトでは、多忙だけど頑張るあなたを、情報発信という形で応援します。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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\これも絶対に必須/
\法律苦手な人は推奨/
公式テキストの購入の賛否はありますが、一発合格できる確率を上げたいなら買っておくべきです。実務でも意外と役立ちますし、受験料の半分以下の値段なので、ケチって不合格の方が割に合わないですよ。