FP2級がFP3級と比較して難易度が一気に上がる4つの要因を解説

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FP2級がFP3級と比較して難易度が一気に上がる4つの要因を解説

FP3級に合格して、これからFP2級を受験する人が気になるのが、FP2級の難易度でしょう。

FP2級は以下4つの要因から、FP3級と比較すると難易度は一気に上がります。

  1. FP2級は受験者の質が高くなる
  2. FP2級は試験範囲が広くなる
  3. FP2級は出題形式が変わる
  4. FP2級は出題レベルが上がる
この記事でわかること
  • FP3級と比較してFP2級の難易度が上がる要因
  • FP2級とFP3の合格率の実態
  • FP2級は難易度は高いけど対策も練りやすい3つの理由
記事の信頼性
  • FP2級・1級に合格しており、FP試験の傾向・対策・内容は把握しています。
  • 本記事執筆に際し、直近5回分の過去問にも目を通しています。

本記事を読めば、FP2級の難易度が高い理由が明確になり、FP2級合格のためにやるべき道筋が見えてきます。

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FP2級がFP3級と比較して難易度が高いと言える4つの理由

  1. FP2級は受験者の質が高くなる
  2. FP2級は試験範囲が広くなる
  3. FP2級は出題形式が変わる
  4. FP2級は出題レベルが上がる

FP2級は上記4つの要因により、FP3級と比較して難易度が一気に上がります。

順に解説します。

FP2級は受験者の質が高くなる

FP2級はFP3級と違いの1つが受験資格です。

受験資格
FP3級FP業務に従事している者または従事しようとしている者
FP2級3級技能検定の合格者
FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者

FP3級は主婦や学生や金融以外の他業種でも、やる気があれば誰でも受験できます。

FP2級は受験資格を満たさないと挑戦できず、ライバルはFP3級取得者や実務経験者となってくるため、FP3級と比較して受験者の質は上がります。

また、FP2級からは通信講座組が参入してくることも、受験者の質が上がる要因の1つです。

代表的な通信講座であるユーキャンにおいても、FP講座はランキング4位と人気の資格であり、通信講座を利用してFP2級に受験する人は多いです。

他の通信講座でも、FP2級(AFP)から取り扱いを開始しているところが多いです。

FP2級試験で通信講座が人気な理由の1つが、AFP認定講座であれば、FP3級未取得かつ実務経験ゼロでもFP2級にいきなり挑戦できることです。

AFP(正式名称:アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)とは、日本FP協会が運営するFP資格であり、AFP認定研修の「基本課程」を受講・修了することで、AFPとFP2級の受検資格を得ることができ、試験に合格すれば、FP2級とAFPの2つの資格を取得できます。

FP2級は試験範囲が広くなる

FP2級では一部の分野では試験範囲が大きく追加されます。

FP2級で新たに追加される内容は以下の通り。(追加部分は赤マーカーの部分)

ライフプランニングと資金計画1. ファイナンシャル・プランニングと倫理
2. ファイナンシャル・プランニングと関連法規
3. ライフプランニングの考え方・手法
4. 社会保険
5. 公的年金
6. 企業年金・個人年金等
7. 年金と税金
8. ライフプラン策定上の資金計画
9. 中小法人の資金計画
10.ローンとカード
11.ライフプランニングと資金計画の最新の動向
リスク管理1.リスクマネジメント
2.保険制度全般
3.生命保険
4.損害保険
5.第三分野の保険
6.リスク管理と保険
7.リスク管理の最新の動向
金融資産運用1. マーケット環境の理解
2. 預貯金・金融類似商品等
3. 投資信託
4. 債券投資
5. 株式投資
6. 外貨建商品
7. 保険商品
8. 金融派生商品
9. ポートフォリオ運用
10. 金融商品と税金
11. セーフティネット
12. 関連法規
13. 金融資産運用の最新の動向
タックスプランニング1. わが国の税制
2. 所得税の仕組み
3. 各種所得の内容
4. 損益通算
5. 所得控除
6. 税額控除
7. 所得税の申告と納付
8. 個人住民税
9. 個人事業税
10.法人税
11.法人住民税
12.法人事業税
13.消費税
14.会社、役員間及び会社間の税務
15.決算書と法人税申告書
16.諸外国の税制度

17.タックスプランニングの最新の動向
不動産1. 不動産の見方
2. 不動産の取引
3. 不動産に関する法令上の規制
4. 不動産の取得・保有に係る税金
5. 不動産の譲渡に係る税金
6. 不動産の賃貸
7. 不動産の有効活用
8. 不動産の証券化
9. 不動産の最新の動向
相続・事業継承1. 贈与と法律
2. 贈与と税金
3. 相続と法律
4. 相続と税金
5. 相続財産の評価(不動産以外)
6. 相続財産の評価(不動産)
7. 不動産の相続対策
8. 相続と保険の活用
9. 事業承継対策
10.事業と経営

11.相続・事業承継の最新の動向

簡潔に言うと法人関係が新たに追加されます。

なぜ法人が新たに追加されたのだろう。

ネコルフ

会社員と個人事業主では社会保険や税制で違いがあるように、会社員の中でも、従業員と法人役員では違いが色々あるからだよ。

FPは個人に対して、お金に関するアドバイスをすることを目的としています。

当然、その個人の中には、法人役員も含まれており、法人役員にアドバイスするためには、法人そのものの知識も求められるからです。

例えば、役員退職金においても、生前退職金か死亡退職金かで、役員と法人のメリット・デメリットが変わってきます。

メリットデメリット
生前退職金退職金控除が適用できる。

株価引き下げ効果がある。
被相続人に支払われるため、現金増加に伴い相続財産が増加する。
死亡退職金500万円×法定相続人の非課税枠適用可能
納税資金を相続人に直接交付できる。
類似業種比準方式の株式の場合、株価引き下げ効果がない。

このように、FP2級以降は個人と法人を一体化した知識も求められます。

また、上記の試験範囲の表は大まかな項目ですが、細かな項目についても一部が追加されています。

例えば、金融資産運用の”8.金融派生商品”の項目においては、FP2級では新たに以下の内容が追加されています。

  • 先物取引、先渡取引
  • オプションの種類と機能
  • 裁定、ヘッジ、スペキュレーション取引
  • オプション、スワップの価格計算の概略

したがって、細かい項目では6分野全てで新規追加されていると認識しましょう。

FP2級は出題形式が変わる

FP2級もFP3級も学科は60問、実技は大問5つですが、内容は異なります。

FP2級FP3級
学科試験四答択一式 60問○×30問
三答択一式 30問
実技試験事例形式(記述式)5題事例形式(マークシート式)5題
合格点は学科・実技共に6割

まずは学科から見ていきましょう。

FP2級は全て四答択一式になっていることから、それだけでも難易度が高いことが分かります。

仮に全て運任せでやった場合の期待値は以下の通り。

  • FP2級:15/60問正解(25.00%)
  • FP3級:25/60問正解(41.67%)

FP3級は運任せでやっても、平均4割は得点できますが、FP2級は25%と低い数値です。

もしFP2級を運の力も借りて合格しようとするのであれば、期待値から逆算すると、30問を確実に正解する必要があります。

続いて実技です。

共通点はどちらも5問の事例形式であること。

違いは、FP3級はマークシート式(三答択一式)に対して、FP2級は記述式であること。

FP3級は三答択一式なので、学科の延長です。

対してFP2級では、一部の問題は完全に記述解答となります。

記述式で一番怖いのは、序盤の問題で躓くと芋づる式で減点となること。

記述式であるがゆえに、細かな計算ミスで減点されるのもFP2級実技試験の特徴です。

FP2級は学科より実技が簡単と言われていますが、計算が苦手な方だと学科より実技の方が難しく感じます。

記述式の場合、問1で計算ミスしても選択式でないがゆえに、ミスに気がつかず、更に問1の間違いが、問2以降の問題にも影響してくるのが恐怖だよね。

FP2級は出題レベルが上がる

試験範囲でも触れましたが、FP2級では細かい分野でも試験範囲が広がっています。

また、試験範囲は同じでも、FP2級は四答択一式であることから、より深く追求される傾向にあります。

下記の問題は、ファイナンシャル・プランニングの関連法規の問題ですが、FP2級とFP3級では、試験範囲が同じでも問われる知識量は異なることが分かります。

FP3級〇×問題

税理士資格を有しないファイナンシャル・プランナーが、顧客のために反復継続して確定申告書を作成しても、その行為が無償であれば税理士法に抵触しない。

FP2級四答択一問題
  1. FPのAさんは、官公庁が作成した転載を禁止する旨の表示がない広報資料をインターネットで入手し、その許諾を得ることなく、自身が開催した資産運用に関するセミナーのレジュメで出典を明記して使用した。
  2. 社会保険労務士の資格を有しないFPのBさんは、老齢基礎年金の受給要件や請求方法を顧客に説明した。
  3. 税理士の資格を有しないFPのCさんは、顧客である相続人の求めに応じて、被相続人の実際の財産の価額を基に具体的な相続税額を算出し、その内容を説明した。
  4. FPのDさんは、顧客から公正証書遺言の作成時の証人になることを求められ、証人としての欠格事由に該当しないことを確認して、証人として立ち会った。

FP2級学科試験の特徴として、四答択一になることで1つの問題を解くのにも時間と知識が求められます。

  • FP3級は、総じて基本的な内容(語句)を知っているかの確認で問題が作成
  • FP2級は、基本的な内容は知っている前提で問題が作成。

余談ですが学科の試験時間は、FP2級の方が難易度が高いにも関わらず、双方共に2時間。

続いて実技試験ですが、こちらも出題レベルが上がります。

実際に不動産の問題を一部抜粋したので見てきましょう。

FP3級実技問題

FP3級の実技問題

FP2級実技問題

FP2級の実技問題

不動産で定番の容積率・建ぺい率の問題ですが、FP2級では一歩踏み込んだ内容になっています。

さらに前述した出題形式の異なり(選択か記述)により、難易度は上がります。

FP2級とFP3級の合格率の違い

FP2級はFP3級より難易度が高くなる要因についてはお伝えしましたが、一番わかりやすいのが合格率でしょう。

実際に直近5回の学科と実技の合格率を見比べれば一目瞭然です。

学科合格率

試験年月FP2級FP3級
2023年9月22.75%37.19%
2023年5月17.51%54.13%
2023年1月29.07%56.00%
2022年9月15.75%43.41%
2022年5月22.11%49.03%

実技合格率

試験年月FP2級FP3級
2023年9月41.36%62.29%
2023年5月39.76%61.58%
2023年1月34.09%67.56%
2022年9月41.54%58.23%
2022年5月31.44%62.24%

FP2級もFP3級同様に学科と実技がありますが、試験範囲は広く、出題形式や出題レベルも難化することから、FP2級では合格率が低くなります。

とくに学科の場合、FP2級では難関傾向にあり、合格率が20%を下回ることも珍しくないです。

また、忘れていけないことは、FP2級の合格者の中には、通信(通学)講座利用者も数多くいること。

FP2級は受験者の質が上がってるにも関わらず、合格率はFP3級より低いので、難易度は大きく上がっていることがわかります。

FP2級は難易度は高いが対策が練りやすい3つの理由

ここまではFP2級がFP3級と比較して難易度が高いことを強調してきたため、不安になったかもしれませんが、ご安心ください。

FP2級は難易度は高いですが、対策は練りやすいです。

理由は3つ。

  1. FP2級は一部合格制度がある
  2. FP2級は市販教材が豊富
  3. FP2級は通信講座も豊富

順に説明していきます。

FP2級は一部合格制度がある

FP2級は学科(午前)と実技(午後)をそれぞれ合格すれば取得となります。

そのため、勉強時間が厳しいと思えば、1月に学科合格、5月に実技合格と学科と実技を分けて、受験することも可能です。

一部合格の有効期限は試験実施日の翌々年度末までです。

一部合格制度をうまく利用すれば、勉強時間が少ない人でも合格を狙えますが。

よくある失敗が、学科の勉強が中途半端にも関わらず、試験日が迫っていることを理由に、慌てて実技勉強をして、そのままどちらも不合格になるパターン。

ただし、FP2級の学科と実技の試験範囲は同じであり、出題形式と問われる内容の論点がやや異なるだけなので、時間に余裕があるのであれば、同時合格を狙った方が効率的です。

実技については、学科が合格レベルに達している状態で、過去問題集を反復して出題形式に慣れてさえしまえば、高得点を狙えます。

FP2級は市販教材が豊富

試験勉強で大変なこと。

それは試験勉強対策となる教材が少なすぎることです。

もちろん少ない教材でも、試験にマッチした教材であれば問題ないですが、ミスマッチだと試験内容は簡単でも勉強には苦労します。

FP2級はどうでしょうか。

実際に本屋に行けば実感すると思いますが、ものすごく充実しています。

なぜ充実しているか。

FP2級は2020年の学科受験者数が年間10万人越えと、人気の資格だからです。

市販教材充実によるメリットは2つ。

  1. 自分に合った教材が選べる。
  2. 出版社の競争が激化することで、教材の質が高まる。

デメリットは、教材が多くあるゆえに、どの教材が自分に合っているか分からないこと。

教材が多過ぎで、どの教材が自分に適しているか分からないあなたは、こちらの記事を参考にしてください。

FP2級は通信講座も豊富

FP2級は人気資格であることから、市販教材だけでなく通信講座も非常に豊富です。

ざっくり挙げてみると、以下の通り。

  • ユーキャン
  • フォーサイト
  • ECC
  • スタディング
  • TAC
  • LEC
  • 資格の大原
  • ヒューマンアカデミー

これまた、選択肢が多過ぎで、どこが良いか迷います。

こちらの記事でおすすめできる通信講座を厳選していますので、参考にしてください。

個人的な意見としては、以下の項目を意識して選べば、講座選びで失敗を防げます。

  • 料金
  • 実績
  • 教材
  • フォローの有無
  • FP講座の業歴の長さ
  • スマホ動画の有無
  • AFPの有無
  • 教育訓練制度対象の有無

通信講座の特徴として、一般的にAFP認定講座は料金が高めになる傾向があります。

また教育訓練対象講座だと、要件を満たしていれば合否に関わらず2割の還付があるので、コース料金だけで判定してはいけません。

教育訓練給付金の対象者
  • 受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上(初めて支給を受けようとする方については、当分の間、1年以上)あること。
  • 受講開始日時点で被保険者(※1)でない方は、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内(適用対象期間の延長が行われた場合は最大20年以内)であること。
  • 前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに3年以上(※2)経過していること。

※1 被保険者とは、一般被保険者及び高年齢被保険者をいいます。

※2 平成26年10月1日前に教育訓練給付金を受給した場合はこの取扱は適用されません。

まとめ:FP2級はFP3級より難易度は高いけど対策は練れる

本記事ではFP2級がFP3級と比較して難易度が一気に上がる要因と対策についてお伝えしました。

FP2級は難易度が高くなる要因
  1. FP2級は受験者の質が高くなる
  2. FP2級は試験範囲が広くなる
  3. FP2級は出題形式が変わる
  4. FP2級は出題レベルが上がる
対策が練りやすい理由
  1. FP2級は一部合格制度がある
  2. FP2級は市販教材が豊富
  3. FP2級は通信講座も豊富

FP2級は国家資格でもあり、誰にでも受験できる資格ではなく、試験も年々難易度が上がっていることから、一発合格のハードルは高いですが、環境(市販教材・通信講座)に恵まれた資格であり、FP2級で学んだ知識は実生活でも活躍する場面が多いので、ぜひFP2級に挑戦してみましょう。

当サイトでは、多忙だけど頑張るあなたを、情報発信という形で応援します。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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